ローカルで動く無料作曲AI:MusicGPTの可能性

AI音楽

この記事のポイント(30秒で要点)

  • ローカル環境で動作する無料AI作曲ツール「MusicGPT」を紹介
  • ネット接続不要・商用利用可(MITライセンス)が大きな特徴
  • Windowsではバイナリをダウンロードするだけで実行可能
  • 音質は実験段階だが、技術検証やプロトタイプ用途に最適

ローカルで動くAI作曲ツール「MusicGPT」実践レポート

Suno や Udio など、クラウドでAIが音楽を作る時代がやってきました。

使ってみて、無料枠の制限や混み合う時間の遅さで悩んだことはありませんか?

実は自分のPCだけでAI作曲を実現できる方法があります。

この記事ではクラウドサービスを離れ、手元のPCでAIが作曲するローカル版 「MusicGPT」の可能性について検証します。無料で、ローカルで何度でも試せる方法を試してみましょう。

この記事でわかること
・MusicGPTの概要と仕組み
・Windowsでの導入手順
・CLI操作・Web UIの使い方
・生成結果の品質とクラウド型AIとの違い

結論から言うと、MusicGPTは音質は一歩及ばず、技術の実験用途がオススメです。

MusicGPTとは?仕組みと特徴をわかりやすく解説

MusicGPTは、ローカルLLMベースの音楽生成AIプロジェクトです。

▲ MusicGPTのGitHubページ。下にスクロールすると中央付近にバイナリリンクがあります。

MusicGPT GitHub (gabotechs)

2025年10月現在では、実質的にMeta社が公開した音楽生成モデル MusicGen のラッパーとなっています。同じ名称のプロダクトが他にもありますが、それぞれ別物です。

MusicGPT本体はその実装であり、インターフェースやモデル最適化を通して、より軽量で扱いやすい形に再構成されています。

MusicGen自体の仕組みや学習モデルについては、別の記事で詳しく取り上げる予定です。

MusicGPT は、AIがテキストプロンプトから音楽を生成するツールです。
クラウド型(例:Suno)とは異なり、完全にローカルで動作します。

  • 🎧 オフライン生成(ネット接続不要)
  • ⚙️ CUDA に対応(GPU利用で高速)
  • 💾 出力は .wav 形式(再編集も自由)
  • 🧩 モデルとバイナリをダウンロードするだけで動作

MusicGPTはWindows以外にもmacOSやLinuxなど複数のプラットフォームで動作します。

ここではWindows環境を対象に、最も手軽な「バイナリをダウンロードして使う方法」を紹介しています。また、WindowsでCUDA(GPU加速)を利用する場合は、Docker環境を利用する方法が推奨されています。直接CUDAライブラリを扱うよりも依存関係が整理され、安定した動作が期待できますが、現状はMusicGenの30秒の制限もあり、CPUのみでも快適に動作します。

MusicGPTのインストール方法(Windows編)

公式ページから Windows 用バイナリをダウンロードします。
トップ画面を下にスクロールすると、READMEの中にバイナリダウンロードのリンクが出てきます。

▲ Windowsの実行バイナリダウンロードリンク。Mac, Linuxもバイナリのダウンロードが可能です。

MusicGPT GitHub (gabotechs)

ダウンロードしたファイルにはインストーラは付属しません。ファイル名が長いので適宜リネームし、配置したフォルダにパスを通しておくと使いやすいでしょう。

フォルダ構成およびファイル名の例:

C:\MusicGPT\
   └─ musicgpt.exe

GPU版を試したい場合は、Docker Desktop とNVIDIA Container Toolkit を導入し、Dockerイメージを利用して起動する方法が推奨されています。初回起動時にモデルを自動取得し、その後は完全オフラインで動作します。

ただ現状ではMusicGenの30秒制約もあり、CPUのみで十分快適に動作します。CUDAが必要となるケースは稀でしょう。

MusicGPTで音楽を生成する方法(CLIモードでの例)

ここではCLIモードで使用する例を紹介します。コマンドプロンプトまたはPowerShellで下記のように実行するだけです。

# 30秒のアンビエントピアノを生成する例、生成完了後は対話モードを抜けて終了
musicgpt.exe generate "ambient piano with rain" --secs 30 --no-interactive

READMEを参考に、テキストプロンプトの冒頭に「Create」「Generate」などの動詞を加えます。

オプションの–sec 30は曲の長さを30秒にしてい、–no-interactiveは対話型インターフェースをオフにして、曲の生成完了後にすぐ終了するオプションです。

Web UIモードも利用可能

ここで紹介しているのは CLIモード(コマンドライン実行)での例ですが、コマンド操作が苦手な場合は、ブラウザ経由で操作できるWeb UIモードも用意されています。

シンプルな入力フォームからプロンプトを送信し、同様に音声を生成することが可能です。

生成された音源のサンプル

実際にいくつかのプロンプトを試してみました。生成は数分程度で終わり、生成結果は .wav 形式で保存されます。

サンプル #01 Lofi ofr study

“Create a Lo-Fi song for study.”をプロンプトとして与え、長さは30秒を指定しています。

サンプル #02 Medieval fantasy.

“Create a medieval fantasy song.”をプロンプトとして与え、長さは30秒を指定しています。

サンプルについて

本記事内の音源サンプルはデモンストレーション目的でのみ掲載しています。

生成自体は快適ですが、実際に生成された.wavファイルには気になる点も。

・30秒までの制限、これはMusicGenの制限によるもの。

・パーカッションに違和感がある。

・メロディーラインが不明確。

など、「それっぽい」感じは出るけれど、音楽としてはまだまだ実験段階という印象です。

クラウドより良い点も。実用性は…

今回のMusicGPTの検証ではローカル環境での音楽生成に可能性は感じるものの、肝心の音質面で実用には遠い印象です。まだ積極的に選ぶ段階ではないでしょう。

クラウドとの違いまとめ

比較項目クラウド型AI (Suno等)ローカルMusicGPT
実行場所サーバ上自分のPC
利用制限あり(規約依存)なし(自己責任)
商用利用制限ありモデル次第で可
遅延ネット依存ほぼゼロ
プライバシーデータ送信あり完全オフライン

商用利用について

MusicGPTはオープンソースとしてGitHubで公開されており、ライセンスは MIT License に基づきます。
基本的に商用利用が可能であり、生成した音源を動画・ゲーム・BGMなどに自由に使用できます。
ただし、元となるモデルである MusicGen(Meta社製) に関しては研究目的での利用を前提とした制約が含まれる場合があり、企業利用や再配布の際はそれぞれのリポジトリのライセンスを確認することをおすすめします。

💡 関連リンク

FAQ(よくある質問)

Q1. GPUがなくても動きますか?
はい、動作します。CPUでも30秒程度のBGMなら問題なく生成可能です。

Q2. 曲の長さを伸ばせますか?
現状はモデル仕様により約30秒が上限です。複数曲を連結して調整する方法が実用的です。

Q3. 音質を上げるには?
GPU環境(CUDA対応)を利用するか、Docker版を試すことで生成速度・安定性が向上します。

Q4. 商用利用はできますか?
MusicGPTはMIT Licenseに基づき、基本的に商用利用可能です。ただし、元のモデルであるMusicGenのライセンスも確認してください。

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