前回の記事では、これまでのpareido.jpの活動から、AIが人間の思考を映し出す「魔法の鏡」になりうる可能性について思考を巡らせました。
今回はその続きとして、pareido.jp の新しいカテゴリである「思想部」と「辺境部」について整理してみます。
思想部 ToDo管理と3人のAI編集者
pareido.jpの運営において現在進行系で試していることの一つは、AIによる自分専用のツール制作です。

一例として、現在まで「ToDo管理」を行うツールをLLMによるコード支援を使って開発しています。いわゆる「バイブコーディング」と呼ばれるスタイルで、AIと対話しながら設計や実装を進めていく方法です。また、実装に力を借りるだけでなく、ツールにはAIの機能をフル活用します。
「バイブコーディング(Vibe Coding)」とは、AIと対話しながらコードを生成・修正し、試行錯誤で開発を進めていくスタイルを指します。GitHub Copilot などのAIコード生成ツールの普及によって広まり、開発者がAIと協働しながらプログラムを書く新しい開発手法として注目されています。2026年1月現在、既に新しい言葉に置き換わりつつあります。
参考: https://github.blog/2023-03-22-github-copilot-x-the-ai-powered-developer-experience/
AIによるコーディング支援は、ビジネスの文脈では、人間の生産性を挙げる、あるいは人件費を節約するツールとして脚光を浴びています。人間を脅かす存在と捉えられることもあります。
いっぽう個人においては、これは単にAIにコードを書かせるというよりも、自分がやっていること、やりたいことをAIの力を借りてツール化し、コンピューターに置き換えていく協働の形と捉えることができます。
従来であれば既製品を使うしかなかったソフトウェアですが、いまやAIの力で、自分だけにフィットする専用の工具が手に入ります。

ToDo管理というテーマを入口に選んだ理由は単純で、自分自身の活動を加速するためです。AIを取り入れ、やりたいことや試したいことは加速度的に増えていきます。この熱量やモチベーション、映画を見た後のような高揚感こそがバイブコーディングの醍醐味です。
ただ、残念ながら与えられた時間と二本の腕だけでは、仕事の傍らですべてを同時に進めることはできません。楽しくてつい没頭してしまう一方で、面倒で後回しにしていることが貯まり続ける。当事者である本人はなかなか見えません。
AIには、「目的的」に事を運ぶための客観的な後押しを期待しています。AIに活動を分析してもらうことで、どこに時間を使っているのか、何を避けているのかを客観的に把握できるようになります。本来の目的を思い出したり、思わぬ視点を与えてくれることもあります。
AIエージェントの本質は、あなたの忠実な斥候であり、未知の領域を先に歩く旅のお供でもあるのです。

ツールの実装を日々進めるにつれ、ToDo管理の先に、ToDo自体をAIに代替してもらう未来も見えてきました。更には、ToDoを考える作業自体も… pareido.jpの編集を行う「AI編集者」も見えてきました。思想部はその可能性を追求します。
辺境部 オカルト、ロマン、ファンタジー
思想部がAIと人間の関係を考える場所だとすれば、もう一つの方向として、より実験的で探索的な領域を扱う場所も必要になります。そこで新しく設けるのが「辺境部」です。
辺境部では、まだ主流ではない技術や、少し変わった実験、あるいは未整理のアイデアなどを扱う予定です。

AIは人類が知っていることのおよそほとんどを知っているのでしょう。それでもAIが全てを答えられるわけではない。AIのそもそもの学習データは人間の作り出したものであり、人間の言語化できない領域は投影されない。人間の限界がそのまま反映されているのでしょう。
AIと対話していて感じるもう一つの可能性は、自分でも言語化できていなかった価値観が浮かび上がることです。人は必ずしも、自分の価値観を明確に説明できるわけではありません。むしろ多くの場合、価値観は無自覚な行動の中に暗黙的に現れます。

いっぽうでAIが生成した物語や動画は、人間の想像を凌駕することもあります。本来エラーで片付けられるような、AIが限りなく生成する奇妙な画像や壊れた文字には、言いしれぬ未知のロマンを感じることがあります。こうした密かな熱量を、よく説明してくれるフレームワークはいまだに存在しないのです。
例えばロボットの「不気味の谷」として知られる現象のよく似た感覚には、AIの画像生成を利用しているとよく出会います。3本の腕や6本の指に生理的な嫌悪感を覚えたり、逆に現実ではありえない合成された生物に不思議な魅力を感じたりします。
AIは、原理的には学習データが溶け込んだスープから凝集した何かを汲み上げる装置であり、本質的な創造を代替する存在ではありません。ただ、イノベーションとしてのトライ&エラーやランダム性を高度に補助する、思考を加速化する装置として非常に有効です。思想部では、生成AIを通じて、こうした人間の根源的な構造に迫っていきたいと考えています。
まとめ
生成AIは、単なる効率化ツールではありません。人間の思考や行動を映し出し、時には自分でも言語化できていなかった価値観を浮かび上がらせる「魔法の鏡」のような存在でもあります。
思想部では、AIと人間の関係を整理しながら、自分の思考や行動を少しずつツール化していく試みを続けていきます。
そして辺境部では、まだ言葉になっていないロマンや違和感、奇妙な魅力を持つ現象も含めて、AIが広げる新しい世界を探索していきたいと考えています。




