この記事のポイント(30秒で要点)
- Mac標準の音声読み上げコマンド「say」で、文章をすぐ音声化できる
- 動画ナレーション・通知音・時報などに幅広く活用可能
- ショートカットAppと組み合わせて音声自動化が可能
- 商用利用はSLAの確認が必要。安全策として別TTS推奨
Macで音声を読み上げる「sayコマンド」とは?
Macに「声で語らせる」。その鍵が、macOS標準の音声読み上げツール「say」コマンドです。インストール不要で、どんな文字列も即座に音声に変換できます。
このコマンドを知っておくと、動画の仮ナレーションや音声案内・通知、リマインダーの自動読み上げなどがすぐ作れます。いわば「Macの中のナレーター」。
この記事では、基本の使い方からショートカット連携、iPhoneでの代替、そして商用利用時の注意までを解説します。
sayコマンドを使う前に知っておくこと
「say」コマンドはmacOSに標準搭載されています。最新のmacOS(Monterey以降)ではすべて利用可能で、追加インストールや設定は不要です。
- 対象:macOS(ターミナル操作)
- 必要なもの:Mac本体のみ
まずはターミナルを開き、次章のコマンドを直接入力して動作を確認しましょう。 ショートカットAppなどの自動化は、基本を理解したあとで触れます。
Macのsayコマンドの基本的な使い方
まずは一番シンプルなコマンドを試してみましょう。
say "こんにちは"
これだけで、Macが「こんにちは」と声で話します。インストールや設定は不要です。
🎙️ 音声を選択して読み上げる
日本語では標準で「Kyoko(女性)」と「Otoya(男性)」の2種類が利用できます。ほかにも英語や中国語、フランス語など多くの音声が搭載されています。
say -v Kyoko "おはようございます"
say -v Otoya "おはようございます"
say -v Samantha "Good morning"
利用可能な音声一覧を確認する場合は、次のコマンドを入力します。
say -v "?"
ターミナルにすべての音声名が表示され、それぞれの声でサンプルを発話します。
💾 読み上げ音声をファイルに保存する
読み上げた音声はファイルとして保存できます。
say "おやすみなさい" -o goodnight.aiff
デフォルトでは AIFF形式(.aiff) で保存されます。非圧縮の高音質形式で、QuickTime・GarageBand・iMovieなどの標準アプリでそのまま扱えます。
MP3やWAVに変換したい場合は、macOS標準の afconvert コマンドを使います。
# MP3に変換
afconvert goodnight.aiff -f MP3 goodnight.mp3
# WAVに変換
afconvert goodnight.aiff -f WAVE goodnight.wav
これでsayの出力をMP3やWAVに変換し、動画素材・ナレーション・通知音などに活用できます。
ショートカットアプリで音声読み上げを自動化する
macOSとiPhoneの両方で使えるショートカットAppには、「テキストを読み上げる」という専用アクションがあります。追加インストールは不要で、もっとも簡単に音声読み上げを自動化できる方法です。
🔊 方法①:テキストを読み上げる(標準アクション)
1. ショートカットAppを開き、新規ショートカットを作成します。
2. アクションを追加 → 検索欄に「読み上げ」と入力します。
3. 「テキストを読み上げる」を選択。
4. 「テキスト」欄に読み上げたい内容を入力します。
現在の時刻は、09時05分です。
このアクションは、システムの音声設定に基づいて発話します。声の種類(Kyoko / Otoyaなど)や速度は、macOSの「システム設定 → アクセシビリティ → 読み上げコンテンツ」で変更できます。
この方法は「音声をその場で聞く」用途に最適です。ただし、音声ファイルとして保存したり、複雑なスクリプトを組む機能は標準では含まれていません。
⚙️ 方法②:sayコマンドをショートカットから呼び出す(高機能版)
より自由度の高い制御を行いたい場合は、ショートカット内で sayコマンド を直接呼び出す方法がおすすめです。これにより、声の選択やファイル出力など、ターミナル同様の機能が使えます。
1. ショートカットAppで「シェルスクリプトを実行」を追加します。
2. スクリプト欄に以下を入力します。
say -v Kyoko "$(date '+%H:%M')" -o ~/Desktop/time.aiff
これで、ショートカットを実行するたびに現在時刻を読み上げ、音声ファイルをデスクトップに保存します。他のスクリプトやオートメーションと組み合わせて、作業リマインダーや時報として活用できます。
🧭 ショートカットとsayコマンドの使い分け
- すぐ音声を聞くだけなら:「テキストを読み上げる」アクションで十分
- 声の種類・速度を細かく制御したい:システム設定で調整
- 音声ファイルを保存したい/スクリプトと連携したい:sayコマンドを利用
このように、ショートカットAppだけでも簡単に音声読み上げを自動化できます。sayコマンドはその延長線上にあり、より高度な用途に対応します。
iPhone・iPadでの音声読み上げ方法
iOSでは「say」コマンドは使えませんが、ショートカットAppの「テキストを読み上げる」機能で同じことができます。
- ① 「現在の日時」を取得
- ② 「日付の書式を設定」で
HH:mmなどに整形 - ③ 「テキストを読み上げる」を追加
- ④ オートメーションで「時刻」を指定(例:毎正時)
読み上げ品質はmacOSと同等で、AirPodsなどを使えば耳元で静かに通知してくれます。
商用利用の注意点とライセンス確認
Appleのシステム音声(Kyoko, Otoyaなど)はmacOSに含まれるソフトウェアの一部です。
現時点でApple公式ドキュメントに明確なライセンス条項は示されておらず、非商用利用限定という見解が複数のユーザー議論で共有されています。商用利用の際はAppleの使用許諾契約(SLA)を確認することが推奨されます。
- 非商用利用(個人・教育・趣味)では問題なし
- 商用利用(販売・配布・商用動画等)はSLAを確認
- 安全策として、商用ではオープンソースや商用TTS音声の使用を推奨
参考:Apple StackExchange: Are the Apple TTS voices copyrighted?
まとめ:Macの音声読み上げをもっと活用しよう
- 「say」はMac標準のTTS。インストール不要で即利用可能
- ショートカット連携で音声通知や読み上げを自動化できる
- 動画・ナレーション利用時は商用可否に注意
FAQ(よくある質問)
Q1. 音が出ません。
音量設定や「アクセシビリティ > 読み上げコンテンツ」を確認してください。AirPods利用時はBluetoothの再接続も試します。
Q2. 保存した音声はどこにありますか?
コマンドを実行したフォルダに保存されます。明示的に保存先を指定する場合は-o ~/Desktop/test.aiffのように書きます。
Q3. 他の声を使いたい。say -v "?"で利用可能な音声一覧を確認。新しい音声は「システム設定 → アクセシビリティ → 読み上げコンテンツ」から追加できます。
Q4. 商用利用してもいい?
Apple標準音声は非商用前提です。商用動画や販売素材にはオープンソースまたは商用TTS音声の利用を推奨します。



