Fooocusとは?手軽さ優先 SDXLベースの画像生成AI

AI画像

Fooocus は、Stable DiffusionをベースにしたWeb UIの一種で、画像生成AIです。

Stable Diffusionに興味はあるものの、WebUI / A1111系やComfyUIは難しそうだと感じている方に向けて、この記事ではFooocusとは何か、何ができて何ができないのか、そして自分の用途に合うかどうかを判断するためのポイントを解説します。

Fooocusとは何か

Fooocus は、Stable Diffusion XL(SDXL)をベースにした画像生成用WebUI です。開発者は ControlNet の作者として知られる Lvmin(lllyasviel)氏で、GitHub 上でオープンソースとして公開されています。 lllyasviel/Fooocus: Focus on prompting and generating

Fooocus は「Stable Diffusion XL アーキテクチャの上に完全に構築された」プロジェクトと説明されており、SDXL に最適化されたフロントエンドという位置づけです。

SDXL を簡単に扱えるツールとされており、「プロンプトを短く書くだけで高品質な画像が得られる」「設定項目が少なく初心者向け」という評価が多く見られます。

ComfyやSD.Nextと比べ、Fooocus は、難しいパラメータ調整を隠蔽しつつ、SDXL の画質を手軽に引き出すことに特化したSDXLクライアントと言えます。

シンプルなユーザーインタフェース

起動直後に「ここにテキストを入れるのだ」とわかるインターフェースになっています。 数値パラメータなど一切ありません。試しにプロンプトに”a test image.”と入れて生成した結果です。

ログを見ると、入力したテキストプロンプトに自動で様々なオプションが付加されていますことが確認できます。ユーザーからは見えないようになっており、毎回、少し変化します。

[Prompt Expansion] a test image, intricate, sharp focus, surreal, dramatic, highly detailed, elegant, professional full color, creative, bright colors, magic, open background, great composition, perfect symmetry, clear scientific, innocent, extremely cute, inspired, pretty, amazing, futuristic, cinematic, stunning, beautiful, pure, light, brilliant, strong, complex, artistic, rich, spiritual

テスト画像というキーワードのみで、ここまで作り込んだ画像が出るのはFooocusならでは。よく見ると、指に違和感がある辺りはAIらしいですが、「それなり」の画像が生成されています。

プロジェクトの現在の開発状況(2025年11月現在)

Fooocus の公式 GitHub では、2024 年後半以降、プロジェクトのステータスとして 「バグ修正のみを行う限定的な長期保守(Limited Long-Term Support, LTS)」 に移行したことが明言されています。

既存の機能は開発者自身が「ほぼ問題がない」と判断しており、今後は致命的なバグが発生した場合の修正を中心に対応する、と説明されています。
this project is abandoned? · lllyasviel/Fooocus · Discussion #3721

GitHub のリリース情報を見ると 2024 年 11 月以降も v2.5.5 などのリリースが続いており、主にセキュリティ修正やスタイル調整などのメンテナンス更新が行われていることが分かります。

このため、FooocusはSDXL世代のフロントエンドとして完成しており、今後のStable Diffusionとは別系統のモデル進化には、また別のツールを検討したほうが良いでしょう。

Fooocus の仕組みと特徴

Fooocus の特徴を理解するうえで重要なのはその設計思想です。

テキストプロンプトを入力するだけで、内部的に解像度やサンプラー、ステップ数、CFG スケールなど多くのパラメータが自動調整されます。

初心者がつまずきやすい設定を UI から隠し、「とりあえずそれなりに良い結果」が出る状態を標準としているのが特徴です。

バックエンドのモデルとしては SDXL 系のチェックポイントが前提となっており、バニラのFooocus では SDXL 以外のベースモデルはサポートしない、という仕様が GitHub Issue でも繰り返し説明されています。

また、基本モードと詳細モードの二段構成となっており、基本モードでは解像度などの設定を最小限に抑え、詳細モードに切り替えるとサンプラーやネガティブプロンプト、インペイントなど、より高度な項目が調整できる構造になっています。

こうした設計により、Fooocusはとにかく簡単に試したい人」から「ある程度は細かく触りたい人」までをカバーしつつ、WebUI(A1111系)やComfyUI ほどの自由度はあえて持たせないバランスを取っています。

他の Stable Diffusion UI との違い

Fooocus を導入するかどうかを判断するうえで、WebUI(A1111系)やComfyUIとの違いを押さえておくことは重要です。

まず、AUTOMATIC1111 は Stable Diffusion 1.5 世代から発展してきた汎用的な WebUI で、Forge/reForge/SD.Next等多数の派生があり、複数のチェックポイントや LoRA、スクリプト拡張を柔軟に組み合わせられます。一方 Fooocus は SDXL に特化しており、非 SDXL モデルを直接ベースとして使うことは想定されていません。

また、ComfyUI はノードベースでワークフローを組み立てることができ、生成プロセスを細かくコントロールしたり、複雑なパイプラインを構築したりする用途に向いています。その反面、習得コストが高く、ある程度の知識と試行錯誤が前提になります。

これに対して Fooocus は、モデル選択とプロンプト入力、いくつかのスタイルや強度の指定程度に UI を絞り込み、ユーザーに見せる情報を意図的に減らしています。その結果、「画質と手軽さのバランスは良いが、チューニングの自由度は低い」 という性格になります。

Fooocusは初心者である程度の絵を出してみたい人に最もおすすめできます。また、すでに Stable Diffusion を本格的に使っているユーザーにとっても、Fooocus はメインツールというよりも「ラフ出し専用」「素早くイメージを確認するためのサブツール」として位置づけた使い方が考えられます。

インストールと基本的な導入イメージ

ここでは詳細な手順より、「どの程度の手間で動くのか」を判断するための導入イメージをまとめます。 Windows環境はダウンロードしてrun.batを開くと起動とシンプルですが、Macでは一般的なStable Diffusion WebUI系の手順が必要です。

下記でも簡単に手順を紹介しますが、Fooocusの設計思想にならい、Stability Matrixを使う方法がWindows/Macとも簡単でおすすめです。 こちらもご参照ください。

なお、クラウド環境で試したい場合は、公式リポジトリに Colab 用ノートブックが用意されており、慣れている方はブラウザだけで動作確認できます。 fooocus_colab.ipynb – Colab

Windowsの場合

Windows 環境では、公式リポジトリや日本語の解説記事で、アーカイブをダウンロードして解凍し、同梱の run.bat を実行するだけでセットアップと起動が行える構成が紹介されています。 lllyasviel/Fooocus: Focus on prompting and generating

VRAM(nVIDIA) 4GB、システムメモリ8GBが最小の要求とされており、比較的低スペックな環境でも動作します。 lllyasviel/Fooocus: Focus on prompting and generating

初回起動時に SDXL モデルなど必要なファイルが自動ダウンロードされ、ブラウザからローカルホストのアドレスにアクセスして UI を開く流れです。

Macの場合

macOSでは、M1/M2 Apple SiliconのMPSが最小要求と書かれていますが、RTX3xxxの9倍遅いとの記述があります。

また、公式READMEで導入の手順の言及はあるものの、「非公式ガイド」との説明があります。 手順自体はオーソドックスなもので、git clone でリポジトリを取得し、conda env create -f environment.yaml で環境を構築し、Apple Silicon 向けの PyTorch を導入する、という流れです。 lllyasviel/Fooocus: Focus on prompting and generating

導入の複雑さや労力を考えれば、Stability Matrixの利用をおすすめします。 表示

どんな人に向いているか

Fooocusは特徴的な設計思想があり、この気軽さは特有の価値で、既に更新がされていないとしても魅力的です。

  • AI 画像生成そのものが初めて だが、SDXLを試してみたい
  • アイデアのラフ出しや構図検討を素早く行いたい

逆に、LoRA や ControlNet を組み合わせた高度な表現を追求したい場合 や、既存の SD1.5 系モデル資産をそのまま活かしたい場合は、Fooocus では役不足です。

また、企業案件や商用プロジェクトで長期的にワークフローを組みたい場合には、既にLTS モードであることを十分に踏まえる必要があります。

Fooocus – mashb1t’s 1-Up Edition という選択肢

公式FooocusがLTS(バグ修正のみ)モードに入ったため、有志開発者 mashb1t 氏が個人フォークとして機能更新を続けている派生版が 1-UP Editionです。Stability Matrixからも選べます。

現在もアクティブに更新が続いており、Fooocusを長く使いたい人には1つの選択肢となります。ただ、あくまで有志による更新のため、将来的な展望については他の可能性も検討しながら利用するとよいでしょう。

まとめ

Fooocus は、Stable Diffusion XL をベースにした画像生成を、できるだけシンプルな UI で実現することに特化したツールです。

もしあなたが、まずは画像生成AIとしてSDXLを試してみたい段階なら、Fooocus は非常に良い出発点になります。

ただしSDXL 専用設計であること、プロジェクトが LTS フェーズに入っていることから、現実的には他のツールとの併用が必要となります。

すでに高度な画像生成ワークフローを持っているのであれば、Fooocus はラフ出しや検証用のサブツールとして活用しつつ、ComfyUI などと組み合わせた全体設計を組むことをおすすめします。

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