
Stable Diffusionは、テキストから画像を生成できるオープンソースのAIモデルです。
一定のスペックがあれば、ローカルPCでも実用的に動くことから人気があります。
Stable Diffusionを始めるには、まず“どの環境で動かすか”を選ぶ必要があります。 無料・ローカル・商用利用も可能な選択肢が揃っているため、初心者でも用途に合った最適な環境をすぐに見つけられます。
Stable Diffusionとは
Stable Diffusion(SD)とは、オープンソースの画像生成AIモデルの総称です。
SDXLとはStable Diffusion の新世代モデル(XL系)で、従来より高画質・高解像度・自然な構図が得意な最新版系列。SD1.5等、以前の世代のモデルも現役で稼働しているケースもあります。
画像生成の自由度が高く、拡張モデル(LoRA)や多様なUIによって用途に応じたカスタマイズが可能です。商用利用できるモデルも提供されており、個人制作からビジネス用途まで幅広く使われています。
Stable Diffusion という言葉は、狭義にはモデルそのものを指しますが、UIを含んだ説明に用いられる場合もあります。
UI(Web UI / アプリ)とは
Stable Diffusion を操作するためのツール。モデル本体ではなく、生成・設定を行う画面(ComfyUI、Web UIなど)が該当します。
2025年11月時点で、ComfyUI、Forge、reForge、SD.Nextなど多くのバリエーションがあります。以前に人気のあったA1111も、Web UIに名前を変えて定番となっています。
Stable Diffusionを利用する際、最初に直面する壁は「UIの派生が多すぎて選べない」という問題です。人気ゆえ多数の派生が進化し、Web上では新旧の情報が混ざり合い、結果的にハードルが高くなっています。
この記事では、“UI選び”を基準に、初心者が最初の環境を決めるガイドを提供します。
WebサービスでのStable Diffusionの利用
初めて Stable Diffusion を試すという方は、Webサービスの利用も便利です。 まずは無料で試し、制約が気になり始めたらローカル環境の検討がおすすめです。
本体がオープンソースのため、採用しているサービスも多数存在します。 他の系列のモデルと比較できるのもWebサービスの良いところ。 ここでは代表的な3つを紹介します。
ClipDrop(Stability AI運営)
Stability AI公式が運営するサービスで、SDXLも含まれます。 生成結果が安定しており、「Stable Diffusionの品質を見たい人」に最適です。
Create stunning visuals in seconds with AI.
Mage.space(簡単UIで高速生成・SDXL対応)
Stable Diffusion(SDXL)他、多数のモデルに対応しています。 入力欄にプロンプトを打つだけで画像が生成できる初心者向けサービス。 モデル切り替えも簡単で、無料でも比較的高速に動作します。
AI Image & Video Generator – Free & Unlimited | Mage
Hugging Face Spaces(多数のAIモデルが試せる)
Stable Diffusionを含む多くのAIモデルが公開されているプラットフォームです。
画像生成のサービスではありませんが、多くのAIモデルを手軽に試せるのが最大の魅力です。
ブラウザだけでSD1.5・SDXL・LoRAなどを実行できるデモ環境が公開されています。
クラウドサービスの有料API
本記事では詳しくは扱いませんが、Stable Diffusionを含む画像生成をAPIで利用できる有料サービスも存在します。 大量生成・自動生成パイプライン・高解像度生成など、ローカルPCでは処理が重いユースケースに向いています。
代表的な有料API
・Stability AI API(SDXLなど公式モデルを直接呼び出せる)
・Google Imagen API(Imagen 2 などの高品質モデル)
また、APIではありませんが、GPUをレンタルしてStable Diffusionを実行できるクラウド環境もあります。
・RunDiffusion(クラウド上でWeb UIやComfyUIをそのまま利用可能)
ローカルで使える主なUI
Stable Diffusion のローカル導入には、大きく3系統の派生があります。
ComfyUI(ノード型・2025年の主流)
ノードをつなげて処理を組むビジュアルワークフロー型のUIで、2024〜2025年の主流です。 「Comfy Org」が開発しており、更新速度が速いこと、SDXL / SD3 など次世代モデルへの対応が早いことが評価されています。動画生成にも対応しています。
無料・ローカル・商用利用という観点では事実上の標準UIと考えられ、最初の一環境として選ぶのに適した構成といえます。
Forge / reForge(A1111後継の実用派)
旧来のA1111(AUTOMATIC1111 WebUI)をベースにした後継プロジェクトです。 A1111は、Stable Diffusion の拡大に貢献した草分け的な存在ですが、2024年以降は派生のForge側が中心になっています。
Forge
・A1111互換のUI
・高速化・最適化・SDXL対応を継続
・従来の単一画面UIで扱いやすい
reForge
・Forgeからさらに改良された派生
・日本語圏の解説やポータブル版が多く導入しやすい
・「A1111の使い勝手は好きだが新しさも欲しい」層にフィット
“A1111の資産をそのまま最新化したい”ユーザーに向いた選択肢です。
SD.Next(機能統合型の次世代UI)
PyTorch 2系を前提に高速化し、画像生成だけでなく動画も扱う総合UIです。
A1111ほど古くなく、ComfyUIほどノード型でもない“中間的な操作性”が特徴で、UIとしての柔軟性が高い構造です。
A1111→Forgeと同じ方向性に感じつつ、より広範な生成機能をまとめて使いたい層が選びます。
A1111(Automatic1111)について
A1111は過去の人気から、膨大な解説記事・拡張といった資産が利用できますが、2025年現在は新規導入の選択肢にはなりません。 理由は以下の通りです。
・更新がほぼ行われていない
・SDXL以降の最適化で派生UIのほうが優れる
・新規情報の多くがForge / reForge / SD.Next向けに移動した
既存のワークフロー資産を再現したい等の目的では十分価値があります。
個人利用の“最適解”
個人の利用では、無料・ローカルかつ商用利用が可能という選択肢が有力です。 以前はインストールにはPythonなど一定の技術知識が必要でしたが、現在はStability Matrixの登場で、比較的簡単に試して比べられるようになりました。
下記の順で試すとよいでしょう。
最初の一環境:ComfyUI ・SDXLなどの次世代モデルや動画モデルにも対応 ・ローカル完結で無料 ・商用利用も問題なし
A1111ライクな操作性が必要なら:Forge / reForge
・既存ワークフロー資産を流用しやすい
・軽くて扱いやすい
・従来UIに慣れている層に最適
高速化や動画生成まで視野に入れるなら:SD.Next ・機能が広く、拡張性が高い ・クラウドGPUとの相性もよい構造
いずれもUIは無料で、商用利用の制約はモデル側にのみ存在します。
ローカル実行のための参考スペック
Stable Diffusion をローカルで動かす場合、ある程度のPCスペックが要求されます。 ここでは最低限に絞って記します。
Windows(NVIDIA GPU前提)
・VRAM 8GB以上が最低ライン ・SDXLを快適に扱うなら12GB以上が望ましい ・CUDA対応GPUが実質必須
macOS(Apple Silicon)
・M1 / M2 / M3 で動作
・Metal対応のPyTorchによりローカル実行が容易
・メモリ16GB以上を推奨(SDXL用途)
CPUのみ運用はどうか
・技術的には可能 ・ただしSDXL世代では実用的な速度にならない ・本気で運用するならGPUは必須
まとめ
Stable DiffusionのUIは派生が多いものの、2025年時点では ComfyUI・Forge / reForge・SD.Nextの三系統に絞って考えられます。
個人が利用しやすい、無料・ローカル・商用利用もカバーでき、動画への適性もある人気のComfyUIは、標準的な選択肢と考えられます。



