Stable Diffusion WebUI Forgeを手動で導入する手順 Windows/Mac

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本記事では、Stable Diffusion Forge本体をWindows・Macに手動でインストールする方法を解説します。

Stability Matrixの登場で、ワンクリックでForgeを導入できるようなりましたが、自分で環境を作っておけば柔軟にアップデート・検証ができるようになります。

Stable Diffusion Forgeとは何か

Stable Diffusion Forgeは、AUTOMATIC1111版Stable Diffusion WebUIの上に構築された派生WebUIで、VRAMの節約や高速化、Flux系モデルやControlNetなどの高度な機能を統合的に扱えるようにしたプロジェクトです。

lllyasviel/stable-diffusion-webui-forge

公式は、ForgeはStable Diffusion WebUI 1.10.1をベースにしつつ、リソース管理の最適化や実験的機能の検証用プラットフォームであると説明されています。

AUTOMATIC1111とほぼ同じUIでありながら、VRAM使用量の削減と画像生成の高速化が期待できる点が特徴として挙げられます。特にVRAMが少ないGPU環境ではForgeのメリットが大きいとされています。

ライセンスはAGPL-3.0で、WebUI本体をベースにした派生配布物や、Forgeを組み込んだサービスを公開する場合にはソースコード公開義務などAGPLの条件が掛かる点も押さえておくべきポイントです。

Stability Matrix版との違いと、あえて手動インストールする理由

2025年現在、Stable Diffusion Forgeを使いたい場合、Stability Matrixからの導入がおすすめです。

Stability Matrix経由の導入は、UIからマウス操作だけでForgeがインストール可能で、ComfyUIなど複数のWebUIをまとめて管理できるためメリットがあります。また、CUDAやPyTorchなどのバージョンをStability Matrix側が揃えてくれるため、環境依存のトラブルが起きにくいという利点もあります。

一方で、Forge本体の更新タイミングや内容を自分でコントロールしたい、他のソフトウェアおとStable Diffusion等のモデルや拡張機能を共有したい等、環境を細かくチューニングしたいユーザーには手動での導入が向いています。

前提条件と対応環境

Stable Diffusion Forgeは、基本的にはAUTOMATIC1111版と同等以上のハードウェア要件を想定しています。国内の解説では、NVIDIA GeForce GPUとCUDA Toolkitを前提とし、VRAMは最低6GB程度が目安とされています。

公式・コミュニティの情報を踏まえると、Windows環境では次のような組み合わせが現実的なラインになります。

  • Windows 10/11 64bit、NVIDIA GeForce RTXシリーズ(6GB以上のVRAM推奨)、SSDストレージ、メモリ16GB以上
  • macOS、Apple Silicon、Metal(MPS)対応

Macでも動作は可能ですが、NVIDIA GPUよりも生成速度は落ちることが多く、特にSDXLや高解像度では待ち時間が長くなる点は注意が必要です。

なお、ForgeをCPUオンリーで動かすことも可能ですが、軽量なモデルでも生成速度は極端に遅く、実用性は限られます。「GPUがどうしても用意できないが、とりあえず動かして試したい」といった検証用途になるでしょう。

WindowsでStable Diffusion Forgeを手動インストールする

ここでは、PythonとGitを用意し、ForgeのGitリポジトリをクローンして使う手順を説明します。公式のREADMEの「Advanced Install」で案内されている方法を、日本語で整理し直したものです。

lllyasviel/stable-diffusion-webui-forge

なおインストールの手順としては Stable Diffusion WebUI (A1111) と殆ど同じで、そちらをインストールした経験があれば簡単に進められるでしょう。

表示

まずPython 3.10系をインストールしてパスを通します。「Windows Terminal」や「PowerShell」を開き、次のように入力してバージョン表示を確認します。最新バージョン(3.14系 2025年11月現在)ではうまく行かない可能性が高いので注意。

> python --version
Python 3.10.12

次にGitをインストールします。公式サイトからWindows版をダウンロードし、そのままウィザードの指示に従えば問題ありません。 Git – Install for Windows

次に、Forgeを配置したいフォルダ(例としてC:\AI\forge)をエクスプローラで開き、そのフォルダ内でターミナル(PowerShellやコマンドプロンプト)を起動します。

Gitで次のようにForgeのリポジトリをクローンします。

git clone https://github.com/lllyasviel/stable-diffusion-webui-forge.git

クローンが終わると、stable-diffusion-webui-forgeというフォルダができます。このフォルダ内に移動し、Windows用の起動スクリプトであるwebui-user.batを実行します。

cd stable-diffusion-webui-forge
webui-user.bat

初回実行時には、必要なPythonライブラリやPyTorch、各種依存パッケージが自動でダウンロード・インストールされます。環境や回線速度にもよりますが、数GB単位のダウンロードが発生するため、ディスクの空き容量と通信環境には余裕を持っておくと安心です。

セットアップが完了すると、コンソールに「Running on local URL: http://127.0.0.1:7860」といった表示が出て、ブラウザが自動で起動します。AUTOMATIC1111版とほぼ同じレイアウトのForge UIが表示されれば成功です。

以後は、同じwebui-user.batを実行するだけでForgeを起動できます。Pythonや依存パッケージはvenvフォルダ内に閉じ込められるため、他のPythonプロジェクトとの干渉も最小限で済みます。

MacでStable Diffusion Forgeを手動インストールする

MacではHomebrewを使ったインストール手順がおすすめですが、公式READMEは最小限で、OS別手順には踏み込んでません。

ForgeはAUTOMATIC1111 WebUIのフォークで、WebUIのLinux / Mac / Windows スクリプトをそのまま保持しています。そのため、Macユーザー向けの情報は本家 WebUI のWikiが最も信頼できる一次情報源となります。こちらを日本語で整理した手順を紹介します。

Home
Stable Diffusion web UI. Contribute to AUTOMATIC1111/stable-diffusion-webui development by creating an account on GitHub...

Macでは、まずHomebrewが入っていない場合はインストールし、ターミナルでPythonや必要パッケージを入れられる状態にしましょう。インストールは.pkgファイルを利用すると簡単です。 Release 5.0.4 · Homebrew/brew

Homebrewのインストールが終わったら、Python 3.10とGitをまとめて導入します。Forge向けのセットアップとして、次のようなコマンドが紹介されています。

brew install python@3.10 git wget

現在の環境であれば、pythonはpyenvや仮想環境を利用して事前に容易し、gitはmacに予め用意されているものを使っても良いでしょう。

次に、Windowsと同様にForgeのリポジトリをクローンします。任意のディレクトリ(例として~/AI/forge)に移動し、次のコマンドを実行します。

git clone https://github.com/lllyasviel/stable-diffusion-webui-forge.git

クローンが完了したら、フォルダ内にあるwebui.sh(もしくはwebui-macos-env.sh)を実行します。これはAUTOMATIC1111版と同様で、起動スクリプト側が仮想環境の作成と必要パッケージのインストールを自動で行います。

cd stable-diffusion-webui-forge
./webui.sh

初回起動には時間がかかりますが、完了するとブラウザが立ち上がり、Forge UIにアクセスできます。

セットアップが完了すると、コンソールに「Running on local URL: http://127.0.0.1:7860」といった表示が出て、ブラウザが自動で起動します。AUTOMATIC1111版とほぼ同じレイアウトのForge UIが表示されれば成功です。

以後は、同じwebui.shを実行するだけでForgeを起動できます。Pythonや依存パッケージはvenvフォルダ内に閉じ込められるため、他のPythonプロジェクトとの干渉も最小限で済みます。

MacではGPUとしてApple SiliconのGPU(Metal/MPS)が利用されますが、NVIDIA GPU環境に比べると処理速度は遅くなるため、解像度やバッチサイズは控えめに設定するのがおすすめです。

Forgeの更新方法

Forgeは2025年11月現在でも更新が続いており、手順を押さえておきます。 手動インストールしたForgeを更新する場合は、Gitのpullでリポジトリを更新するのが基本です。
Forgeのgit cloneを行ったフォルダでターミナルを開き、次のように実行します。

git pull

Windowsの場合、ワンクリックで導入した環境に対しては公式でupdate.batの実行が推奨されていますが、Advanced Installの場合はSD-WebUIと同様にGitで更新する運用が想定されています。

更新後、再びwebui-user.bat(macはwebui.sh)を実行し、画面右下のバージョン情報やNEWSセクションから正常に更新されているかを確認しておきましょう。

モデルフォルダ共有とStability Matrixとの連携のヒント

ForgeはAUTOMATIC1111版と同じディレクトリ構成を採用しており、models/Stable-diffusion、models/Loraなどのフォルダ構造も共通です。

すでにAUTOMATIC1111を使っている場合、以下のような運用が現実的です。

  • AUTOMATIC1111側のmodelsフォルダをForge側にコピーする。ストレージ使用量は増えますが、各環境が完全に独立するためトラブルが少なく、運用もシンプルになります。
  • シンボリックリンクや設定ファイルでモデルフォルダを共有する手もありますが、やや上級者向け。

Forge Neoなどではモデル共有用のシンボリックリンク活用が明示的に紹介されています。

よくあるつまずきとチェックポイント

Forgeの手動インストールでつまずきやすいポイントは、AUTOMATIC1111版とほぼ同じです。公式READMEやコミュニティの記事でよく言及されている点を、チェックリスト的に整理しておきます。

まず、Pythonのバージョンが3.10系になっているかを確認してください。3.11以降を既定のPythonにしている環境では、依存パッケージのビルドや動作でエラーに繋がるケースがあります。

次に、NVIDIA GPU環境ではGPUドライバとCUDA Toolkitが適切な組み合わせになっているかを確認します。Forge公式のワンクリックパッケージでは、CUDA 12.1+PyTorch 2.3.1など複数の組み合わせが案内されており、推奨構成に揃えることでトラブルを回避しやすくなります。

起動時に「Connection errored out」や「Press any key to continue…」といったメッセージが出る場合は、公式READMEのトラブルシュートセクションが用意されているので、一度目を通しておくと原因切り分けの手がかりになります。

どうしても解決しない場合は、Stability MatrixでまずForge環境が正常に動くかを試し、「ハードウェアやドライバの問題か」「Forge手動環境の問題か」を切り分けると、問題の所在を特定する方法もあります。

まとめと今後のアップデートへの備え方

本記事では、Stable Diffusion ForgeをWindowsとMacに手動インストールする流れを整理しました。手順自体はAUTOMATIC1111版と大きく変わりません。PythonとGitさえ押さえてしまえば進められるでしょう。

ForgeはFlux系モデルやBitsandBytes、GGUFなど新しい機能を積極的に取り込んでいく方針が公式READMEでも示されています。その分アップデート頻度も高いため、定期的にGit pullやupdate.batで更新しつつ、万が一不具合が発生したときに備えて、安定版として別フォルダ等に現行のバージョンや依存関係の情報を残しておく運用が安心です。

Forgeや周辺ツールの仕様は比較的短いスパンで変わるため、最新の情報を都度検索し、公式READMEや信頼できる解説記事と照らし合わせながら運用していくことをおすすめします。

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