Stability Matrixは、Lykos AIが開発しているStable Diffusionを始めとする生成AIのGUIパッケージマネージャです。
Stable DiffusionやComfy等の各種Web UIをワンクリックでインストール・更新できるデスクトップアプリとして人気があります。
- Stable Diffusion系 (WebUI, Forge, reForge, SwarmUI…)
- Comyfy UI
- Fooocus
- Cogstudio
- InvokeAI
- SD.Next
- …
Python等、複雑な依存関係を意識せず扱える点も非常に便利。Stable Diffusionをこれから触る人にも、すでに複数UIを併用している人にもおすすめのツールです。
Stability Matrixのメリット
Stable Diffusionなど、それぞれのソフトウェアは個別にダウンロード・インストールすることも可能です。Stability Matrixを利用するメリットは大きく3点あります。
Stable Diffusion WebUI ForgeやComfyUI、SD.Nextなど主要なWebUIのインストールと更新がほぼワンクリック。
対応パッケージはバージョン管理されており、アップデートもStability Matrix側からの通知に基づいて統一的に実行できる。各WebUIのPython環境や依存パッケージを個別に管理。
Embedded GitやPythonが同梱されているため、ユーザー側で事前にPythonやGitを入れなくても、Stability Matrix内部のサンドボックス環境でセットアップが完結します。モデルブラウザとチェックポイント(モデル)管理が非常に強力。
Civit AI、Hugging Face、OpenModelDBから人気のモデルを即座にダウンロードし一覧管理できます。特にCivit AIは、どういうわけか本家のWebサイトよりも動作が軽く快適。
対応プラットフォームと動作環境
Stability MatrixはWindows、Linux、macOSの利用可能です。
Windows版は実行ファイルを含むZIP形式、Linux版はAppImage、macOS版はアプリケーションバンドルとして提供されており、いずれもインストーラーに近い扱いやすい形式です。
Stable Diffusionを始め、生成AIの本体はGPUの有無で実行速度が大きく変わるため、実用的な画像生成を行うにはNVIDIA GPUやApple SiliconなどのGPU環境が推奨されます。
ただしStability Matrixそのものはデスクトップアプリであり、UIの起動であればCPU環境でも動作します。
生成AIソフトやモデルは、実際に動かしてみるまで実用性がわからない場合も多く、まずは試してみたい場合に最適な手段です。
ダウンロード場所とファイルの種類を正しく把握する
Stability Matrixは、公式WebサイトおよびGitHubのリリースページから配布されています。 Lykos AI
公式サイトから「Download」ボタンをクリックすると下記の選択画面になり、ここではStable版を利用します。パトロンとして参加すればプレビュー版への早期アクセスも可能です。

デフォルトではWindows向けファイルですが、”Looking for a different OS?”リンクをクリックするとOSの選択肢が現れます。

Windowsの場合
「StabilityMatrix-win-x64.zip」のようなZIPファイルがダウンロードされます。
展開後、”StabilityMatrix.exe”を任意のフォルダに配置して起動すればOKです。
インストーラではなく直接起動するタイプで、Windowsからセキュリティ警告が出る場合は、「詳細」リンクから実行を選択できます。こちらもご参照ください。
macOSの場合
「StabilityMatrix-macos-arm64.dmg」のようなファイルがダウンロードされます。
一般的なMacアプリと同様に、.dmgファイルを開いてStabilityMatrix.appをApplicationsフォルダへドラッグ&ドロップすればインストール完了です。
macOSから警告が入る場合がありますが、配布元が信頼できれば開いて実行して問題がありません。
いずれの配布形式も「Stability Matrixという1本のアプリを入れれば、その中から各種WebUIをインストールできる」形になっており、ユーザーが個別にAutomatic1111やComfyUIをGit経由で取得する必要はありません。ここが、手動インストールとの大きな違いです。
インストールから初回起動まで
ここではMacを例に取りますが、Windows環境でも手順は同様です。
初回起動時は、まず利用規約への同意が必要です。確認して同意し、「続ける」をクリックします。

続いて、データフォルダを指定します。Portableモードにデフォルトでチェックが入っています。

ここで指定したフォルダ配下に、各WebUIやモデルファイルがインストールされていきます。 生成AIはストレージ容量を多く使うため、空き容量に余裕のあるドライブを選んでおくと安心です。
分析データの共有について、適宜選択します。

これで初回起動時の設定はほぼ完了です。
最初に入れるべきパッケージと基本的な使い方
続けて、インストールするパッケージ一覧が表示されます。

初回設定自体は完了しており、ここでスキップも可能ですが、インストールまで進めてみます。
Stable Diffusionをこれから学びたい場合は、まずAutomatic1111系のWebUIやStable Diffusion WebUI Forge、あるいはComfyUIといった代表的なパッケージから入れるとよいでしょう。
パッケージを選択すると、即座にインストールが始まり、必要なPython環境や依存パッケージ、WebUI本体が自動的にセットアップされます。

Stable Diffusionなど選択したパッケージによっては、インストール中に、おすすめのモデルが表示される場合も。ここでモデルを選ぶと続けてダウンロードも進行します。
インストールが完了するとパッケージ画面に表示され、Launchクリックで起動できます。

起動処理が終わり、WebUIが起動すると「Web UIを開く」リンクが利用可能になります。
ブラウザが開き、WebUIの画面が表示されます。下記はComfy UIの例です。

従来であれば手動で行っていたPython環境構築やgit clone、requirementsの導入といった手順がすべてStability Matrix側で吸収されているため、ユーザーはAIの利用に集中できます。
無事にComfy UIの起動が完了しました。

ライセンスと商用利用の考え方
Stability Matrix本体はAGPL-3.0ライセンスとして公開されており、商用利用は可能です。
一方で、Stability Matrixからインストールする各ソフトウェアやモデルは、それぞれ異なるライセンス条件を持っています。商用利用にはそれらも個別に確認する必要があります。
またライセンス上は商用利用が可能でも、モデルやチェックポイントによっては著作権等の懸念を抱えている場合もあります。よく確認した上での利用をおすすめします。
よくある質問(FAQ)
インストーラーはありますか
いいえ。Stability MatrixはWindows、Linux、macOS向けに、直接実行可能なバイナリまたはそれに準じる形式で配布されています。WindowsではZIPを展開して得られたexeを起動します。LinuxではAppImage、macOSではdmgファイル形式で、一般的なデスクトップアプリと同様の感覚で導入できます。
Python環境を用意する必要はありますか
通常の利用であれば、Stability Matrix本体をダウンロードして実行するだけで十分です。内部にEmbedded GitやPythonが同梱されているため、ユーザーが事前にPythonやGitをインストールする必要はありません。
GPUがないPCでも使えますか
Stability Matrix自体はGPUなしでも起動できますが、Stable Diffusionによる画像生成は非常に計算負荷が高いため、CPUのみだと生成に多くの時間がかかります。試しに1枚生成してみて、待ち時間が長すぎると感じた場合は、将来的なGPU搭載機の導入を検討するとよいでしょう。
どのWebUIから入れるのがおすすめですか
プロンプトベースで手早く画像生成を試したい場合はStable Diffusion WebUI ForgeやreForge, ノードベースで柔軟なワークフローを組みたい場合はComfyUIというように、目的に応じて選ぶのがおすすめです。Stability Matrixは複数のWebUIを簡単に管理できるため、まずは一つインストールして、必要に応じて追加していく利用方法がおすすめです。
まとめ:Stability Matrixで「環境構築の壁」を下げる
Stability Matrixは、Stable Diffusionや関連WebUIの導入ハードルを大きく下げるためのデスクトップアプリです。PythonやGitの事前知識不要で、Stable Diffusion Forge/reForgeやComfyUIといった主要なWebUIをセットアップできます。
これからStable Diffusionを始める方も、複数のWebUIをまとめて管理したい方も、まずはStability Matrixを一つのハブとして導入し、その上に自分に合った生成環境を積み上げていくと、遠回りせずにローカルAI画像生成の世界に入っていけます。




