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OBSERVATION · 其の0547 · 2025.10.19

Mac版Whisper比較ガイド【決定版】openai-whisper・faster-whisper・whisper.cpp・MLX、4実装を同条件で再計測

こんにちは、パレイド技術部の夏目です。

(2026-06-09 更新)MLX-Whisper を加えた4実装を同条件で再計測し、決定版に改稿しました。

MacでWhisperを使いたいけれど、どの実装を選べばいいか迷っていませんか。OpenAI の Whisper には、同じモデルを動かすための実装が複数あり、どれを選ぶかで導入の手軽さも速度も大きく変わります

主要な選択肢は次の4つです。これまで pareido.jp では①②③として各実装を個別に扱ってきましたが、本記事はその総まとめとして、4実装を同じマシン・同じ音声・同じモデルで横並びに計測した「決定版」です。

  • openai-whisper(Python 公式版・最も素直に動く)
  • faster-whisper(CTranslate2 ベース・CPU/GPU 対応の高速版)
  • whisper.cpp(C/C++ ネイティブ・依存が最小)
  • MLX-Whisper(Apple Silicon ネイティブ・GPU を直接叩く)

旧版では3実装の比較で「whisper.cpp 圧勝」という結論でしたが、Apple Silicon の GPU を直接使う MLX が加わったことで、その勢力図は塗り替わりました。今回はその顛末を、実測値とともに正直に整理します。

本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。

4実装の特徴:メリット・デメリット・こんな人に

4つの実装は競合というより、前提とする環境で棲み分ける関係です。まずはそれぞれの素性を、技術スタックの違いとあわせて整理します。

openai-whisper(Python 公式版) は、OpenAI が配布する本家実装です。pip install openai-whisper の一発で入り、PyTorch 経由で Apple Silicon の GPU(MPS)も使えます。メリットは最も素直で互換性が高いこと、デメリットは依存(PyTorch 一式)が重く、後述のとおり最速ではないことです。最新の large-v3-turbo にも対応済みで、「まず動かして挙動を確認したい」人の標準解になります。

faster-whisper(CTranslate2 版) は、Whisper を CTranslate2 という推論エンジンで再実装した高速版です。最大の強みは量子化(int8 等)でメモリを抑えつつ、Linux/Windows の CUDA GPU で素直に速いこと。ただしMac には CUDA がなく、Apple Silicon では CPU/int8 で動くため、Mac 単体だと本領を発揮しきれません。Linux サーバーや Windows + NVIDIA も含めた汎用環境を持つ人向けです。

  • whisper.cpp:C/C++ ネイティブ実装。Python も PyTorch も不要で、brew install whisper-cpp の CLI だけで完結。Apple Silicon では Metal(GPU)を使い、依存最小・省メモリで軽快。組み込みや CI に組み込みたい人に向く。デメリットはモデルの事前ダウンロードが必要なことと、Python API が無いこと。
  • MLX-Whisper:Apple 純正フレームワーク MLX 上の実装。GPU とユニファイドメモリを直接叩くため、特に大型モデルで速い。pip install mlx-whisper で入り、Python から呼べる。デメリットはApple Silicon 専用(Intel Mac 不可)で、まだ新しい枠組みであること。

立ち位置をひと言で言えば、openai-whisper は素直さ、faster-whisper は汎用 GPU での安定、whisper.cpp は依存の少なさ、MLX-Whisper はApple Silicon での速さ。ここから先は、その違いが数字にどう出るかを見ていきます。

公平なベンチマーク:4実装を同条件で実測

今回は 4実装すべてを、同じ Mac・同じ音声・同じモデルで実測しました。旧版は別々の機会に取った数字を並べていましたが、それでは公平な比較になりません。そこで say コマンドで作った約58秒の日本語音声(16kHz / モノラル WAV)を1本用意し、4実装に同じファイルを通しています。

数字はいずれも初回のモデル読み込み・ダウンロードを除いた2回目(キャッシュ済み)の処理時間です。モデルは日本語実務の本命である large-v3-turbo を中心に、軽量側の small と最高精度の large-v3 を加えた3サイズで揃えました。

環境構成

項目 内容
マシン MacBook(Apple M5 / 10コア)
メモリ 32GB(ユニファイドメモリ)
OS macOS 26.4
Python 3.12
入力音声 約58秒 / 16kHz / モノラル / 日本語(say 生成)
各実装バージョン openai-whisper 20250625 / faster-whisper 1.2.1(int8)/ whisper.cpp 1.8.4 / mlx-whisper 0.4.3(mlx 0.31.2)

処理時間(58秒音声・4実装すべて本機で実測)

モデル openai-whisper faster-whisper(int8) whisper.cpp MLX-Whisper 最速
small 4.79秒 8.79秒 2.70秒 1.63秒 MLX
large-v3-turbo 6.63秒 13.26秒 4.21秒 1.93秒 MLX
large-v3 19.78秒 38.00秒 10.25秒 6.51秒 MLX

※全数字は本機(Apple M5)で実測した値です。公称値や旧データの引き継ぎは混ぜていません。faster-whisper のみ Mac に CUDA が無いため CPU/int8 での計測で、本来の強みである NVIDIA GPU は使えていない点に注意してください。

リアルタイム比(音声長 ÷ 処理時間。大きいほど速い)

モデル openai-whisper faster-whisper whisper.cpp MLX-Whisper
small 約12倍 約7倍 約22倍 約36倍
large-v3-turbo 約9倍 約4倍 約14倍 約30倍
large-v3 約3倍 約2倍 約6倍 約9倍

正直な印象として、MLX-Whisper が全モデルで頭ひとつ抜けて速い結果になりました。旧版で「圧勝」としていた whisper.cpp も依然として速く、依存の少なさを考えれば十分実用的ですが、純粋な速度では MLX に large-v3-turbo で約2倍の差をつけられています。GPU を直接叩く設計が、大型モデルでこそ効くのがそのまま数字に出た形です。

一方で faster-whisper が Mac で最も遅いのは意外に映るかもしれませんが、これは罠というより前提の問題です。faster-whisper の本領は CUDA GPU にあり、Mac では CPU/int8 にフォールバックするため、GPU を使う他の3実装に水をあけられます。Linux + NVIDIA なら順位は変わるはずで、この表はあくまで「Mac 単体での話」と読んでください。精度はどの実装も large 系で「Whisper/句読点まで含めてほぼ正確」で、say 音声に対しては実装間の差よりモデルサイズの差のほうが支配的でした。

用途別おすすめ matrix(MLX を含む4実装)

速度だけで決めないために、用途と制約から逆引きできる表にまとめます。Mac で Python に抵抗がないなら MLX、依存を増やしたくないなら whisper.cpp、というのが基本線です。

条件 おすすめ実装 モデル 理由
Apple Silicon × Python で最新モデルを最速 MLX-Whisper large-v3-turbo GPU 直叩きで全モデル最速。pip 一発
依存を最小化・CLI だけ・組み込み whisper.cpp small / turbo Python 不要、brew で完結、省メモリ
Linux/Windows も含む汎用・NVIDIA GPU faster-whisper large-v3-turbo CUDA で本領発揮、量子化でメモリ節約
とにかく素直に動かして確認 openai-whisper small / turbo 本家実装、互換性が高く挙動が読める
精度最重視・校正用途 MLX / whisper.cpp large-v3 最高精度。turbo で足りなければここ

日本語の議事録やインタビューを実務でこなすなら、large-v3-turbo が現実的な本命です。large-v3 に近い精度を保ったまま、turbo は本機で large-v3 の3〜4倍速く回ります。「精度は欲しいが実時間を待ちたくない」という大半の用途を、turbo 一本でカバーできます。

使い分けと各実装の詳細(①②③へ)

各実装の導入手順・コード例・モデルの選び方は、それぞれの個別記事で実測を交えて詳しく扱っています。本記事は横並びの比較に徹したので、実際に動かす段になったら下記の各編へ進んでください。

  • ①faster-whisper 編:Python から CTranslate2 で動かす。pip install faster-whisper とサンプルコード、量子化(int8/float16)の選び方。
  • ②whisper.cpp 編brew install whisper-cpp から .bin モデルの取得、whisper-cli の実行、よくあるトラブル対処まで。
  • ③MLX 編pip install mlx-whisper で Apple Silicon の GPU を直接使う。large-v3-turbo の実測と mlx-community の変換済みモデルの選び方。
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まとめ:あなたに最適な1つ

旧版の「whisper.cpp 圧勝」という結論は、MLX-Whisper の登場で棲み分けへと更新されました。最後に、本機での実測を踏まえた選び方を一枚に畳んでおきます。

あなたの状況 おすすめ実装 モデル
Apple Silicon × Python・最速で回したい MLX-Whisper large-v3-turbo
依存を増やしたくない・CLI だけで完結 whisper.cpp small / turbo
Linux/Windows も含む・NVIDIA GPU あり faster-whisper large-v3-turbo
とにかく素直に動作確認したい openai-whisper small / turbo

迷ったら、Mac で Python が使えるなら MLX-Whisper + large-v3-turbo が今のところ最短ルートです。Python を増やしたくない、組み込みたい、という事情があるなら whisper.cpp が堅実な次点になります。ローカルで完結する文字起こしは、もう「待たされる作業」ではなくなりました。

リンク集

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