こんにちは、パレイド思想部の梨本です。
前回、妖怪から VTuber へと続く「人ならざるものへの憧れ」を、人が惹かれる記号として数えにかかった話を書きました。手元で動くローカルの画像認識 AI にアバターを読ませ、髪色や瞳の色を記号にほどいて、登録者数の数字と並べる。あのときはまだ 90 体の途中経過でしたが、末尾で「体数を増やして相関を見ていく」と約束しました。今回はその続きで、90 体を 742 体まで増やし終えたところから見えてきた分布を、思想部の視点で意味づけてみます。
本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。
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「端から端まで」集めるために、母集団の作り方を変えた
90 体のときの集め方は、YouTube をたどって見つかったチャンネルを拾っていくやり方でした。これは手早い反面、偏りが出ます。検索でよく当たる人気どころに寄って、大手事務所の全員を取りこぼしたり、逆に静かに活動する個人勢を拾いきれなかったりする。分布を語るには、母集団そのものが偏っていては始まりません。
そこで、集め方を二段構えにしました。
- 大手は名簿から: ホロライブ(74 体)とにじさんじ(196 体)は、各社の公式サイトに載っている所属タレントの一覧から直接拾う。事務所が「うちの全員」と示している名簿なので、取りこぼしが出ません。
- それ以外は広く探索: 個人勢や中小は、YouTube を複数のジャンルにまたがって探索して拾う(472 体)。
同じ人物が両方に現れたときは、YouTube のチャンネル ID で重複を排除しました。「大手は名簿から、その他だけ広く探索する」と役割を分けたことで、人気上位だけに寄る偏りと、個人勢の取りこぼしの両方が減ります。数えた結果の分布が、前より信頼できるものになったわけです。地味ですが、何を数えたかと同じくらい、どう母集団を作ったかが効いてきます。
増えて見えてきた ── 現実にない色が、現実の色を上回る
742 体のうち、個人チャンネルとして集計できた 725 体で分布を見てみます。あくまで傾向で、ここから何かを断定するつもりはありません。
- 髪色: 金 55・銀 46・桃 43・黒 39・白 34・水色 32。銀・桃・水色・白といった、現実の人間にはまず生えてこない色を合わせると、自然な黒や茶を上回ります。前回 90 体で見えた「赤や黒より青や銀が多い」という見立ては、体数を 8 倍にしても崩れませんでした。
- 瞳の色: 青 86・紫 79・緑 53・赤 39。青と、現実には無い紫が突き抜けて多い。瞳は髪ほど色が散らばらないという前回の観察も、そのまま残りました。
- 種族: 人間 556 に対し、獣耳(けものみみ)123・悪魔 19。およそ 1〜2 割が、人ならざる身体の記号を帯びています。
- 性別: 女性 498・男性 190。大手の名簿を取り込んだことで、YouTube 探索だけでは見えにくかった男性勢(約 26%)が可視化されました。
- 画風: 725 体のうち 702 体が、ほぼ 2D のアニメ調でした。
ここで前回の補助線を思い出しておきます。妖怪の姿には、実在する部品の組み合わせでできた型(獣の耳、鳥の翼)と、あり得ない配置でできた型がありました。現実にない髪色をあえて選ぶことは「あり得ない配置」の、獣耳は「実在部品の組み合わせ」の、それぞれまっすぐな地続きに見えます。人ならざるものを描くときの身ぶりは、雪女から VTuber まで、案外変わっていないのかもしれません。
実在の VTuber を扱う以上、断りは今回も繰り返します。見ているのは誰でも閲覧できる公開情報だけで、一人ひとりの人格や活動の良し悪しを測るものではありません。対象は人ではなく、多くの姿に共通して現れる記号のほう。人を採点しないことを、この道具の前提に置いています。
作り手の分布から、見る側の希求へ
ここまで数えてきたのは、いわば作り手が選んだ記号の分布です。VTuber を立ち上げる人が、どんな髪色や種族を選んだか。けれど記号への希求には、もう一方の面があります。見る側が、どの記号に手を伸ばすのかです。
そこで公開している「記号の記録」に、ひとつ仕掛けを足しました。どのチャンネルが開かれ、どの記号で絞り込まれ、何が検索されるかを、匿名のまま観測する計測です。誰が見たかは記録しません。記録するのは、銀髪で絞る人が多いのか、獣耳で探す人が多いのかといった、手の伸び方のほうです。
これで、記号の希求を二つの面から眺められるようになります。作る側が選ぶ分布と、見る側が探す分布。この二つがどれだけ重なり、どこでずれるのか。作り手の勘と、受け手の欲望は同じ形をしているのか。覗く前には見えなかった問いが、また一つ増えました。
まとめ
90 体から 742 体へ。体数を増やし、母集団の作り方を整えたことで、人が人ならざるものに向ける希求の輪郭が、前より確かに見えてきました。現実にない色がこれだけ選ばれているという事実は、妖怪の時代から続く「あり得ないものへの憧れ」が、いまも形を変えて生きている証だと思います。
これは収益や効率のための作業ではありません。ひとりが手元の AI に記号を読む眼を借りて、かつては職人集団に宿っていた勘へ、人類規模の問いへと、見える範囲を広げていく。個人の拡張とは、こういうことだと考えています。道具は置いておくので、よければ触ってみてください。公式名簿の取り込みや計測の仕組みといった実装の詳細は、技術部のほうで別途まとめます。思想部が見ておきたいのは、その分布が、わたしたちのどんな希求を映し返してくるか、のほうです。