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OBSERVATION · 其の7223 · 2026.07.21

召喚をコードにする(4)|種を暦から山の伝承へ、そして「顔」そのものが答え合わせの対象になった

召喚をコードにする(4)|種を暦から山の伝承へ、そして「顔」そのものが答え合わせの対象になった — 召喚をコードに, 山の伝承, 画像生成AI

こんにちは、パレイド思想部の梨本です。

この連載では、「召喚」という物語の演出を、実際に動く AI の手続きに翻訳する試みを続けてきました。これまでの三回は、日付から計算だけで決まる暦(星座・干支・六曜・誕生花・誕生石)をその日の種にして、記号ランキングから三体を抽選し、手元の画像生成に描かせ、最後に別の画像認識 AI へ「実際に何が描けたか」を答え合わせさせる、という一本の流れを追ってきました。

今回は、その種を「暦」から「山の伝承」へ差し替えます。さらにもう一つ、これまで髪色や瞳の色といった記号の答え合わせだけだったところに、「顔の骨格そのもの」も答え合わせの対象に加わりました。山という土地が持っていた顔つきが、人間の顔として立ち上がってくる。その一段深いところまで、今回は見ていきます。

パレイド召喚をコードにする(1)|暦を種に今日のキャラクターを呼び出し、AIに「実際に描けたもの」を答え合わせさせるこんにちは、パレイド思想部の梨本です。 少し前に、VTuber や AITuber の外見を「記号」に分解し、ローカルの画像認識 AI に読ませてデータベースに…

本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。

種を「暦」から「山の伝承」に差し替える

日本の山には、たいてい何かしらの物語が紐づいています。祭神を祀る山、本尊を頂く山、誰かが切り拓いた開山の伝えを持つ山、名を持たないまま「山の神」とだけ伝わる山。この伝承を、暦の代わりの種にしてみました。山ごとに違う物語が、その山から呼び出されるキャラクターの元になります。

肝心なのは、ベースの抽選ロジックには一切手を入れていないことです。髪色・瞳・服装・性格といった主要な記号は、これまでどおり人気ランキングからの重み付き抽選で決まります。山の伝承に由来する記号(衣装のアクセサリ、性格の副次的な特性、語る内容)は、その上に「追加専用」で和集合(union)として重ねるだけにしました。土台は動かさず、山の色だけを足す、という向きです。

  • 祭神の山なら朱と白、御幣や紅袴、畏れと守りの気配
  • 本尊の山なら金と紺、数珠や光背、静けさ
  • 開山の山なら土の茶と藍、錫杖と草鞋、切り拓く意志
  • 名を持たない山なら苔緑・霧の白・野の花、飼い慣らされない気配

これらは連載で守ってきた設計哲学の踏襲です。今回の主役の一つ、秋吉台(山口県)は、特定の名を持つ伝承は見つからず、「山の神」とされます。だから種になったのは、苔緑と野の花です。

「顔」そのものが答え合わせの対象になった

第一回から第三回まで、答え合わせしていたのは記号でした。「青い髪」と指示して、実際に描かれたのは水色だった。そういう指示と結果のズレを測ってきたわけです。今回加わったのは、もっと手前の層でした。キャラクターの顔の骨格そのものが、山の地形から来ています

手続きはこうです。まず山の地形の起伏を走査して、そこに顔を見つけます。次にその顔を、実在の人体 3D 統計モデルに当てて、「実在しうる人間の顔として最も近い形」へ投影します。地形のノイズだらけの凹凸を、人間の顔がとりうる範囲へ寄せ直す工程です。そうして得た骨格を、アバターの下地に反映させます。技術的な詳細は姉妹連載に譲りますが、記号の答え合わせに、造形そのものの答え合わせが一段重なった、と捉えてもらえればと思います。

そして、ここで面白い癖が出ました。秋吉台の一体は、山の神テーマの「苔(moss green)」がプロンプトに何度も現れます。衣装は苔緑の着物、肩には苔緑のショール、色の指定にも苔の緑(#2E4A3D)。その繰り返しに引かれてか、AI は肌にまで苔を描きました。頬から首筋にかけて、緑の苔が地衣類のように広がっています。

秋吉台の伝承から生まれたキャラクターの最終画像。白髪・ピンクの瞳の正面向きバスト、視線もこちらを向く。頬から首筋にかけて苔緑が広がっている

これを「バグ」と切り捨てるのは、少し惜しいと感じています。秋吉台はカルスト台地で、苔むした岩肌がそのまま風景になっている土地です。肌に生えた苔は、その山らしさが顔にまで滲んだもの、とも読めます。意図として残すべきか、肌だけは人肌に戻すよう調整すべきか、わたしのなかでもまだ判断が割れています。少なくとも、消す前に一度立ち止まる価値のあるズレでした。

六甲山 ── 名のある伝承と、データの質が実在感に跳ね返る

もう一つの峰、六甲山(兵庫県)は、事情が違います。こちらには「六甲山神」という名を持つ祭神が伝わっていて、秋吉台の匿名の山の神とは対照的です。種としては、名前のぶんだけ豊かなはずでした。

ところが、豊かな伝承がそのまま良い顔になるとは限りません。地形から顔を見つけるときの検出スコアが、秋吉台より大きく低いのです。秋吉台がこのパイロットで最も良い 0.165 だったのに対し、六甲山は 0.033。地形が差し出す顔つきが薄く、人体モデルへ寄せ直しても、骨格の再現性が秋吉台ほど信頼できるかは未知数です。

ここで見えてくるのは、入り口のデータの質が、そのまま出口の「実在感」に跳ね返るという、手を動かすまで実感しにくい事実でした。名のある伝承だから説得力のある顔が立つ、とはならない。物語の豊かさと、地形が顔を差し出してくれるかどうかは、まったく別の話だったのです。土地が顔を見せてくれる度合いは、伝承とは無関係に、地形の側の都合で決まっています。

まとめ

種を暦から山の伝承に替えても、土台の手続きはそのまま動きました。山の色を和集合で足すだけで、土台の抽選には指一本触れずに済む。個人が組織のように毎日キャラクターを立ち上げ続ける、という連載の目標に、この差し替えはそのまま乗ります。

そのうえで今回の本題は、答え合わせの層が一段深くなったことでした。髪や瞳という記号だけでなく、顔の骨格そのものを、地形という外部の与件から受け取り直す。苔が肌にまで生えること、検出スコアの低さが顔の説得力をそのまま削ること——どちらも、思い通りにならなかった部分にこそ規則があるという、この連載でずっと見てきたことの続きです。山という土地の記憶を、一人でもキャラクターとして呼び出し続けられる。次はどの山を種にするか、まだ決めていませんが、地形が差し出す顔つきを毎回受け取り直す作業は、しばらく飽きずに続けられそうです。

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