こんにちは、パレイド思想部の梨本です。
少し前に、VTuber や AITuber の外見を「記号」に分解し、ローカルの画像認識 AI に読ませてデータベースにした話を書きました。銀髪、青い瞳、獣耳、特定の画風。人が惹かれる要素を分布として眺める試みで、これは「集める・読む・並べる」という、いわば記号を溜めるところまでの話でした。
今回からは、その溜めた記号を実際に使うフェーズの話をします。溜めた記号のランキングから、毎日、新しいキャラクターを何体か自動で立ち上げる仕組みを作りました。物語のうえでは、これを日々の「召喚」と呼んでいます。今日はその第一回として、実際に三日分・九体を試験的に呼び出したなかから、初日の三体を題材にします。
本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。
キャラクターを一体呼び出すのに、手はいくつ要るか
一つのキャラクターを世に出すまでには、たくさんの手作業がありました。性格を決め、髪や瞳や服の記号を選び、絵を描き、名前と口癖をつけ、世界観になじむ背景を用意する。工程のどれもが、作り手の判断と手数を要します。
だから、一人の作り手が毎日新しいキャラクターを立ち上げ続けるのは、質を保とうとすればするほど規模の壁にぶつかります。手を自動化したい。けれど、ただ乱数でランダムに組み合わせるのでは、その日である必然も、続けて眺める意味も生まれません。「日替わりである必然」と「手数の自動化」を両立させたい——それが出発点でした。
「召喚」を、そのまま手続きに翻訳する
そこで、召喚という比喩を、そのまま動く手続きに置き換えてみました。順に並べると、こうなります。
- 種(シード)を暦から採る: 日付から計算だけで決まる暦——西洋十二星座、干支、六曜、誕生花、誕生石——を、その日の種にします。運任せではなく、日付が決まれば種も一意に決まる。初日は、土曜・かに座・午年・先勝・誕生花はヒエンソウ(花言葉は清明)・誕生石はルビー、という組み合わせでした。
- 記号を抽選する: この種を使って、「記号の記録」の人気ランキングから、重み付きで三体分の記号セット(髪色・瞳・服装・性格・雰囲気)を引きます。
- 三つの視点で描く: 引いた記号をもとに、手元の GPU で動く画像生成に、一体につき三枚を描かせます。顔中心、全身のポーズ、そしてその日の暦モチーフを背景に落とした世界観のカット。かに座の日なら蟹の意匠が、誕生花と誕生石の色味が、背景ににじみます。
- 描かれたものを問い直す: 描き上がった絵を、今度は別のローカル画像認識 AI に見せて、「実際に何が描かれているか」を言葉にさせます。
- 記号を描かれたもので上書きする: その見立てで、最初に引いた記号セットを描かれた実物のほうへ補正します。
- 一つのまとまりに束ねる: 最終的な記号セットを、常駐 AI キャラクターの管理システムが求める契約の形に変換し、一つのパッケージとして書き出します。
初日の一体、「セブンラック」の世界観カットがこれです。かに座の蟹が上部の意匠に、ルビーの赤とヒエンソウの青が装飾の縁に落ちています。暦という不変のルールが、そのまま絵の細部になっているのがわかります。

なお、この三枚はどれも手元の GPU で、同じ画像生成モデル(Animagine XL 4.0 という、アニメ・イラスト系の SDXL) で描いています。サンプラーやステップ数(dpmpp_2m_sde/karras/28 steps/cfg 5.0)も三視点で共通にして、視点ごとに変えているのは解像度と渡す言葉(プロンプト)だけです。どのモデルを選ぶと何が出やすいかに興味があれば、技術部が同じ Animagine XL 4.0 を掘り下げた回があります。
いちばん面白いのは、指示と結果がズレるところ
このパイプラインで、思想部としていちばん書いておきたいのは第四・第五の工程です。引いた記号(こちらが指示した値)と、描き上がった絵から画像認識 AI が読み取った記号(実際に描かれた値)は、はっきりとズレます。
初日の三体で、その対比を並べてみます。
| キャラクター | こちらが指示した記号 | 絵から読み取られた記号 |
|---|---|---|
| セブンラック(クールで無口) | 青い髪/エレガントな海賊風 | 水色の髪に花の髪飾り/「幻想的で装飾的」な雰囲気 |
| ラメ君(元気いっぱい) | サメのヒレ型の髪/赤い瞳 | 長く豊かに波打つ髪/赤茶の瞳/「気まぐれで幻想的」 |
| レン・ラップ(予測不能) | 黒髪/くつろいだ雰囲気 | 濃紺の髪/琥珀の瞳/「華やかで装飾的な和の美意識」 |

「エレガントな海賊風」と指示したセブンラックは、海賊帽こそ残しつつ、全体は水色の髪と花飾りをまとった幻想的な佇まいに落ち着きました。ラメ君にいたっては、「サメのヒレ型の髪」という指定がまるごと解けて、長く波打つ髪に変わっています。レン・ラップは、黒髪と指定したはずが濃紺になり、くつろいだ雰囲気は華やかな和の意匠へと振れました。


これは絵の失敗ではありません。「AI に何かを指示する」という行為そのものに、意図と結果のズレが必ず含まれることの、小さな縮図です。言葉で「青い髪」と渡しても、受け取った側が描くのは、その言葉が呼び起こした別のなにかです。人と人のあいだでも起きることが、指示が記号として明示的なぶん、ここではくっきり見えます。
だからこのパイプラインには、自分の指示を正としないというひと工程を入れました。引いた記号を最終形とせず、描かれた実物を画像認識 AI に読ませて、そちらへ記号を寄せ直す。指示ではなく結果を観測してから確定する、という順序です。ズレを消そうとするのではなく、ズレを測って受け取る。AI に何かを任せるときの態度として、この向きを手続きに埋め込んでおきたかった、というのが正直なところです。
こうして描かれた実物へ寄せ直した記号は、最後にひとまとめのパッケージへ束ねられます。外見・性格・口調・つなぎ言葉を一枚のプロフィールに封じた、常駐 AI キャラクターの管理システムがそのまま読み込める契約の形です。この一箱を、顔を検出してから全身を起こし、表情の差分を何十枚も刻み、動くプレビューまで用意する本番の生成パイプラインに通すと、こんどは実際に動かせる一体が立ち上がります。三体分、実際に描き上がった姿と、束ねた設定を並べてみます。

displayName: セブンラック
personality: 'クールで無表情だが、内面には深い情感を持つ。特性: calm, curious, energetic'
speakingStyle: 一人称『watashi』。明るく自信がある。ハイテンション。カジュアル。
archetype: kuudere
決め台詞: 「Numbers don't lie - let's organize them!」

displayName: ラメ君
personality: '元気いっぱいで周囲を巻き込むエネルギーの持ち主。特性: enthusiastic, charming, playful'
speakingStyle: 一人称『watashi』。明るく自信がある。中程度。カジュアルだが丁寧。
archetype: genki
決め台詞: 「Ramen break incoming! Let's fuel up!」「Population count is full, but our energy isn't!」

displayName: レン・ラップ
personality: '予測不能な行動で場を盛り上げるエンターテイナー。特性: optimistic, friendly'
speakingStyle: 一人称『watashi』。明るく自信がある。落ち着いている。カジュアルだが丁寧。
archetype: chaotic_entertainer
決め台詞: 「Plan A is always perfect, but let's prep Plan B just in case!」「Gathering data for the greater good—no time to waste!」
まとめ
召喚という比喩を手続きに翻訳したら、暦から種を採り、記号を抽選し、三つの視点で描き、描かれたものを問い直し、記号を補正して束ねる、という一本の流れになりました。手数は自動化され、日付が変わるたびに種も引かれる記号も変わります。個人が毎日キャラクターを呼び出し続けられる規模に、この手続きは乗ります。
そのうえで面白いのは、人間の指示と AI の結果のあいだのズレを、パイプライン自身が測って埋めにいくところでした。次回は、暦が変わった二日目・三日目(07-12、07-13)の召喚を見ていきます。種が変われば、引かれる記号も、絵の化け方もまた変わるはずです。