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OBSERVATION · 其の6575 · 2026.07.09

Z-Image-Turbo 導入・実機検証|Apache-2.0の6BモデルはKrea 2 Turboより速く日本語もほぼ描けた(DiT系チェックポイントチェリーピック3)

Z-Image-Turbo 導入・実機検証|Apache-2.0の6BモデルはKrea 2 Turboより速く日本語もほぼ描けた(DiT系チェックポイントチェリーピック3) — Z-Image-Turbo, Apache-2.0, 日本語描画

こんにちは、パレイド技術部の夏目です。

前回の Krea 2 Raw 編の最後で、次回は Z-Image-Turbo 編とお伝えし、「蒸留は精度側にも効くかもしれない」という仮説を別モデルで確かめにいく、と予告しました。先に一つお断りしておくと、今回検証できたのは Z-Image-Turbo(蒸留版)だけで、対になる非蒸留版の Z-Image-Base はまだ回せていません。つまり蒸留の有無を突き合わせる比較は今回はできず、その回収は次回以降に持ち越します。

そのぶん、今回は Z-Image-Turbo 単体で見えてくる価値のほうに軸足を置きます。Apache-2.0 という、この連載で扱った中でいちばん扱いやすいライセンス、Krea 2 の一桁下にあたる 6B(60 億パラメータ)という小ささ、そして Qwen 系テキストエンコーダゆえの日本語描画です。この連載ではここまで Krea 2 Turbo / Krea 2 Raw を軸に、日本語がほぼ描けない比較対象として FLUX.1 schnell / dev も回してきました。今回はその並びに Apache-2.0 の小型モデルを一つ加えて、ライセンス・速度・日本語精度の三つを突き合わせます。ベンチ条件(seed=42 / 1264×848 / 共通 6 プロンプト)は前 2 回から変えずに回します。

本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。

出自と系統

Z-Image は、中国 Alibaba 傘下の Tongyi Lab(通義)が開発した画像生成モデルです(GitHub: Tongyi-MAI/Z-Image)。中身は 6B パラメータの単一ストリーム DiT(Diffusion Transformer、拡散モデルの骨格を Transformer に置き換えた世代)で、テキストと画像のトークンを同じ重みで処理する設計を採っています。Krea 2 の 120 億パラメータ(12B)と比べると、ちょうど一桁小さいクラスです。

系統は 4 つに分かれます。今回検証したのは、8 ステップ蒸留(多ステップの推論を少ステップに凝縮して高速化する手法)で高速推論に振った Turbo です。

系統 ステップ数の目安 用途
Z-Image-Turbo 8(蒸留) 高速推論向け(今回検証)
Z-Image 28〜50 創造的生成向け
Z-Image-Omni-Base 生成・編集の両対応
Z-Image-Edit 編集特化

公式は中国語・英語が混在するテキストの描画を強みとして挙げています。テキストエンコーダには Qwen3-4B を採用していて、Krea 2 の Qwen3-VL-4B よりさらに小型です。

前 2 回で日本語タイトルがほぼ完璧に出たのは、どちらも Qwen 系エンコーダを積んでいたからでした。Z-Image-Turbo も同じ Qwen 系という一点が、後述のベンチマークへの伏線になります。

ライセンスと商用利用

Z-Image-Turbo のライセンスは Apache-2.0 です。前 2 回の Krea 2(Community License、個人・小規模 50 席まで・入出力フィルタの実装義務あり)や、非商用にとどまる FLUX.1 dev と違い、縛りなしで商用に使えるタイプです。この連載でこれまで扱った 3 モデル(Krea 2 Turbo / Krea 2 Raw / FLUX 系)の中で、いちばんクリーンなライセンスになります。

判定軸: 制限なく使える / 条件付き / × 商用不可

判定 根拠 / 解釈
商用利用 Apache-2.0 が商用利用を許諾(席数・規模の縛りなし)
生成物の利用・販売 制約なし
モデルの再配布 Apache-2.0 の条件(ライセンス表記の保持等)を満たせば可
派生モデル(LoRA 等)の作成・配布 制約なし
pareido.jp のアイキャッチ用途 個人規模・自サイト利用で問題なし
総合(一般的な業務利用) 制限なく使える

総合判定は ○(制限なく使える)。Krea 2 の △(条件付き商用可)と並べると差がはっきりします。規模やホスト形態で条件が切り替わる Krea 2 と違い、Z-Image-Turbo は使う前にライセンスで身構える必要がありません。

環境とセットアップ

検証機は前 2 回と同じ、RTX 4070 の Windows 機です。

項目
GPU RTX 4070 12GB
ComfyUI 0.27.0(StabilityMatrix 版)

使用ファイルは 3 つで、いずれも Comfy-Org 公式配布の量子化版を使いました。量子化とは、モデルの数値精度(重みのビット幅)を落として、ファイルサイズと計算量を削る手法です。

役割 ファイル サイズ 入手先
diffusion model z_image_turbo_int8_convrot.safetensors(int8 量子化) 6.20 GB Comfy-Org/z_image_turbo
テキストエンコーダ qwen_3_4b_fp8_mixed.safetensors(fp8) 5.63 GB 同上
VAE ae.safetensors 0.34 GB 同上

3 ファイルとも Hugging Face の Comfy-Org/z_image_turbo から取得できます。VAE は画像を潜在空間へ圧縮し、生成後に元の解像度へ復元する部分で、ここだけは 0.34 GB と小さく量子化していません。合計で 12 GB 少々と、6B モデルらしく前 2 回より一段軽い構成です。

ノード構成は、モデル読み込み・テキストエンコーダ読み込み・VAE 読み込みの 3 点です(ComfyUI 上ではそれぞれ UNETLoader(weight_dtype=default)/ CLIPLoader / VAELoader)。ComfyUI 0.27.0 は Z-Image にネイティブ対応済みで、カスタムノードの追加は要りませんでした。ここは前 2 回と同じく、環境構築での引っかかりがない部類です。

ひとつ豆知識を挟むと、テキストエンコーダ読み込みで指定するエンコーダ種別が、Z-Image では lumina2 という名前になります。Krea 2 が krea2、FLUX が flux とモデル名そのままなのに対し、Z-Image だけは一見無関係な名前を選ぶので、ここで手が止まりやすい箇所です。モデル名で探すと見つからないので、lumina2 を選べば通ります。

サンプラー設定は下記です。

項目
サンプラー KSamplerAdvanced
sampler_name euler
scheduler simple
steps 8
cfg 1.0
start_at_step / end_at_step 0 / 10000(実質フルステップ)

これらの値は、ComfyUI 公式の Z-Image-Turbo チュートリアルと、コミュニティ配布のワークフロー(martin-rizzo/AmazingZImageWorkflowamazing-z-photo_SAFETENSORS.json)を一次情報にしています。Krea 2 が er_sde という専用サンプラーを要求したのに対し、Z-Image-Turbo は標準的な euler で 8 ステップが素直に効きます。

生成時間は 6 プロンプトの平均で 約 9.9 秒(最速 6.5 秒・最遅 15.7 秒)でした。この連載で回したモデルの中では最速です。

モデル 平均生成秒
Z-Image-Turbo 約 9.9 s
FLUX.1 schnell 約 13.6 s
Krea 2 Turbo 約 24.7 s
FLUX.1 dev 約 46.6 s
Krea 2 Raw 約 301.9 s

6B という小ささが、そのまま速度に出ました。ピーク VRAM は 9891 MiB / 12282 MiB で、12GB のうち 8 割ほどを使い切る水準です。Krea 2 Turbo(8939 MiB)よりむしろ高めなのは、int8 版の diffusion model とfp8 版のエンコーダを同時に載せているためで、モデル本体が小さいわりにメモリは余らせていません。

ベンチマーク

統一条件は前 2 回から継承します。

項目
seed 42
解像度 1264 × 848(3:2 近似、アイキャッチ用)
共通プロンプト 6 種(experiments/image_checkpoint_tour/prompts/common.yaml

判定軸: 指示どおり / ばらつき or 一部未達 / × 破綻・未描画

# プロンプト概要 結果 所見
01 英語写実(workspace_en) 質感高く一発描画
02 「サムネイル自動生成」(workspace_ja_title) 日本語をほぼ完璧に描画。SDXL 系が崩れていた壁を越える
03 中央空けレイアウト(abstract_neural) ニューラルネット表現。中央空けも概ね遵守
04 「実測!」の吹き出し(comic_panel) 「実測!」を正確に描画。ただし 2 つの吹き出しに分かれて描く構図上の癖あり
05 アイソメ(iso_cityscape) パステル調で破綻なし
06 日英混在(poster_mixed) 日本語「実測」は正確だが、英字部分に “ERNNIE” という軽微なタイポ

内訳は 5 ○ / 1 △ / 0 × でした。この連載で共通 6 プロンプトを全問 ○ で通したのは Krea 2 Turbo だけで、Z-Image-Turbo はそれに次ぐ成績になります。唯一の △ も破綻ではなく、日本語側は正確に読める中で英字のスペルが一文字ぶれた程度の崩れです。

01 workspace_en。英語プロンプトの写実。デスク周りの小物まで質感高く一発で描けている
02 workspace_ja_title。日本語タイトル「サムネイル自動生成」がほぼ崩れずに描かれている。SDXL 系が崩壊していた領域
03 abstract_neural。抽象的なニューラルネット表現。中央を空けるレイアウト指示も概ね通っている
04 comic_panel。「実測!」の文字は正確だが、2 つの吹き出しに分かれて描かれる構図上の癖が出ている
05 iso_cityscape。アイソメトリックの街並み。パステル調で破綻なくまとまっている
06 poster_mixed。日本語「実測」は正確だが、英字部分に "ERNNIE" という軽微なタイポが出ている

結果のサマリ

Krea 2 Turbo と 3 つの軸で並べると、Z-Image-Turbo の立ち位置がはっきりします。

Z-Image-Turbo Krea 2 Turbo
ライセンス Apache-2.0(○) Community License(△) Z-Image が上(縛りなし)
平均生成秒 約 9.9 s 約 24.7 s Z-Image が約 2.5 倍速い
日本語精度 5 ○ / 1 △ 6 ○ Krea 2 がわずかに上

ライセンスと速度は Z-Image-Turbo が明確に上です。日本語精度だけは Krea 2 Turbo が全問 ○ でわずかに勝りますが、その差は #06 の英字に一文字ぶんのタイポが出たかどうかという僅差です。

どちらも Qwen 系テキストエンコーダを積んでいて、CLIP-L + T5-XXL(FLUX が使う、英語に偏ったテキストエンコーダの組み合わせ)で日本語が全滅した FLUX 系とは決定的に違います。前 2 回で見えた「日本語を画面に乗せたいなら Qwen 系を選ぶ」という選定基準は、Z-Image でもそのまま効いています。

実用の結論はこうなります。アイキャッチ用途で迷ったら、まず Z-Image-Turbo から試すのが合理的です。ライセンスがいちばんクリーンで、速度も連載最速、日本語精度もほぼ満点という 3 拍子で、はじめの 1 本に据えやすい性格でした。

目的 第一候補 理由
アイキャッチをとにかく速く量産したい Z-Image-Turbo 平均 9.9 秒・Apache-2.0・日本語もほぼ描ける
ライセンスで一切身構えたくない Z-Image-Turbo Apache-2.0 で商用・再配布・派生すべて ○
日本語タイトルを一文字も崩したくない Krea 2 Turbo 共通 6 プロンプト全問 ○(ただし約 2.5 倍遅い)

次回予告

次回は Z-Image-Base 編です。今回の Turbo は 8 ステップ蒸留で「速く・すぐ使える」側でしたが、非蒸留の Base を同じベンチ条件で回せば、蒸留の有無で日本語精度がどう変わるかを直接見られます。Krea 2 Raw / Turbo で見えた「蒸留は精度側にも効くかもしれない」という仮説を、今度は Z-Image という別系統で切り分けにいきます。

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