前回は、ROMに焼き込まれたエラーメッセージの処理を借りて、そこにAIの返事を差し込む仕組みを見ました。今回は、ファミリーベーシックの他の機能とAIの親和性を見ていきます。今回はその1つ目、カリキュレータボード(電卓機能)を試してみます。
ROMに最初から入っている、簡易的な計算機能です。今回AIで、呼び出しのコマンドと数式を自動で打ち込む部分を拡張してみました。
本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。
前回(第2回・本編)はこちらです。
カリキュレータボードを開く
カリキュレータボードは、起動画面のCOMPUTERとの対話からでも起動できますが、同じ入力欄に”CAL.” と打ち込むとどこからでもショートカットで起動できます。
第1回では、コンピューターの応答をOllamaのAPIに繋げることで、チャットを可能にする試みでした。カリキュレータボードに同様の拡張も可能ですが、率直なところあまり面白い要素がありません。8桁まで扱える、少数の計算も可能というファミコンの仕様を考えればなかなかの本格的な機能ですが、実用性という意味では、ブラウザやLLMが動く環境ならより使いやすい電卓機能が備わっています。
7桁の小数と、桁あふれ
確かめたかったのは、この電卓が小数をどこまで扱うかでした。8ビットのゲーム機に載った機能なので整数だけかと思っていましたが、22÷7 はきちんと 3.1428571 を返します。1÷3 は 0.3333333。どちらも小数点以下がちょうど7桁でそろっています。
| 入力 | 表示された結果 | 確認できたこと |
|---|---|---|
| 22÷7 | 3.1428571 | 小数点以下7桁まで表示 |
| 1÷3 | 0.3333333 | 割り切れない数も7桁で止まる |
| 9999999 | 9999999 | 整数7桁はそのまま表示 |
8ビット機でも小数点付きの割り算が返ってくるという一点は、素直に驚いた部分です。GAME BASICモードでは、整数しか扱えないため一見実用的です。ただ、この計算結果をGAME BASICモードにコピペで書き戻したりはできません。いったん、手動でメモを取るなどの処理が必要です。
環境映像として楽しむ?
自動入力の機能や、カリキュレータボードの画面情報を取得する機能は実装してみましたが、それ以上の用途が思いつきません。
カリキュレータボードの良いところは、専用のBGMがあり、今でいうところの作業用BGMのような邪魔をしない曲調です。また、式を入力してイコールを入力すると、計算結果が効果音とともに現れる演出は、ちょっとしたカタルシスも感じます。計算式を入力し、結果が出ていく様子を眺めるというのも一興です。
ただ、メッセージ表示用途であればメッセージボードの方がより向いており、キャラクターのアニメーション演出もあるため、どうしてもカリキュレータボードはAIと絡ませてもあまり良い使い道が思いつきませんでした。
1983年、表計算がビジネスを取った年
前年の1983年を振り返ると、パソコンの世界では表計算ソフトが主役に躍り出た年でした。1月26日に発売された Lotus 1-2-3 が、先行していた VisiCalc を凌ぐ勢いで広がり、1984年の時点ではビジネス用表計算ソフトの代名詞になりつつあります。ワードプロセッサと並ぶ、パソコンを買う理由そのものでした。
その翌年に登場したファミリーベーシックにも、小数を扱う電卓が入っていた。向いている方向は同じ「実用」です。ただしゲーム機の側は、そこから表計算や帳票の方向へは進みませんでした。今わたしたちがスプレッドシートを当たり前に開くのは、あのときパソコンの側が取った道の延長にあります。
分かれ目は、計算そのものよりもその先の始末にあったのだろうと考えています。表計算が事務を取れたのは、数字を並べて保存し、保存または印刷して人に渡せたからです。テレビに繋いだ8ビット機で7桁の答えを出せても、そこから残す・持ち出すという工程が続きません。今回動かして見えたのは、電卓としての能力よりも、その周りの薄さのほうでした。
ゲーム機が実用の道具として使われる未来もありえたのか。答えを持っているわけではありませんし、今回開いたのは電卓が1枚だけです。それでも、選択画面に電卓が並んでいたという事実は、当時の設計者が「これは遊ぶだけの機械ではない」と考えていた痕跡には見えます。
40年前の電卓は、今も正しく計算しています。AIはその傍らで打鍵していただけで、計算能力を足したわけでも、精度を上げたわけでもありません。それでも、当時は面倒で使いこなせなかった機能に、自動入力という形で手が届くようになった。この連載で確かめたいのは、そういう手の届き方の変化のほうです。
次回は2枚目、メッセージボードを開きます。