前回はメッセージボード、40年前の「伝言板」を扱いました。今回は残るミュージックボード(作曲機能)です。
本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。
五線譜風に音符を置いていく
ミュージックボードはメニュー画面での対話、または入力欄に”MUS.”と打ち込むと起動できます。
楽譜をイメージしたようユーザーインターフェースで、ソ、ミ、レ、ファといった音が1つずつ置かれていきます。おいた音がその場で鳴るのもポイント。画面下部には「FAST <—o—> SLOW」のテンポバーと、音部記号を選ぶ枠が並んでいます。テンポを数値で指定するのではなく、つまみの位置で決める作りです。できるだけ直感的、かつ認知度の高い「ドレミ」を用いて、数字を打たせずに済ませる、という設計思想が見て取れます。
PLAY文ではなく、耳で並べる
ファミリーベーシックのBASICには、音を鳴らすための PLAY 文があります。音階を文字列で書いて渡す方式で、走らせるまで結果が分かりません。書けはするけれど、聞きながら直すには向いていない書き方です。
ミュージックボードはその方式を採りませんでした。五線譜の上に音符を置くと、その音がその場で鳴る。耳で確かめながら3和音を組み立てられる作りです。楽譜が読めるかどうかを、入口の条件にしなかったとも言えます。
同じ「音を鳴らす」目的に対して、2つの入口がどう違うかを並べておきます。
PLAY 文 |
ミュージックボード | |
|---|---|---|
| 入力するもの | 音階を並べた文字列 | 五線譜の上に置く音符 |
| 結果の確認 | 走らせるまで分からない | 置いた瞬間に鳴る |
| 前提になる知識 | BASICの書き方 | 耳。楽譜が読めなくてもよい |
| 和音の扱い | 文字列の上で組み立てる | 重ねて置いて聞き比べる |
1984年という時期を思うと、この判断はいっそう際立ちます。MIDI規格が生まれたのが1983年、その翌年です。DTM(パソコンで音楽を作ること)がまだ始まったばかりの頃に、家庭用ゲーム機の周辺機器としてこの入力方法が載っていた。当時はきっと、楽譜集と睨めっこしながら1音ずつ置いていったはずです。
サンプル曲の並びにも時代が出ています。「ドラえもん」「サザエさん」といった誰もが知る曲が、説明書のサンプルに商標の表示もなく並んでいます(反面、HAPPY BIRTHDAY には商標表示あり)。権利の扱いがおおらかだった頃の空気が、そのまま残っている一覧です。有名曲が続くその列に、そっと「オリジナルロックンロール」が混ざっているのが、この画面でいちばん目を引いたところでした。
ファミコンのカセットには本体の音源を拡張するチップ(VRC6 / VRC7 / N163 など)を積んだものがありますが、これは1989年以降の、一部に限られます。『悪魔城伝説』『魍魎戦記MADARA』『ラグランジュポイント』などがその例。1984年のミュージックボードが扱うのは、本体に内蔵された音源の範囲です。
AIはOCR+自動入力
この画面で、AIには楽譜データの自動入力(オートタイプ)を実行させてみました。また、ベースの曲データはOCRで説明書にあるサンプルを読み込ませてみました。
AIであれば、権利関係のクリアな曲データであれば生成も可能です。また、音楽を生成するAIとの連動も可能ですが、ミュージックボードは汎用性が低くGAME BASICモードでPLAY文で記述する方法がおすすめです。
ボード3種を見終えて
この連載は、40年前の開発環境に手元のローカルLLMを繋ぐところから始まりました。ROMのエラーメッセージをフックして応答を差し込む仕組みと「占い」の正体を確かめ、そのあとで起動直後の選択画面に残っていた3枚のボード(カリキュレータ・メッセージ・ミュージック)を1つずつ開けて試しました。
3つのボードは、キーボードという(コントローラーに比べれば)リッチな入力デバイスを活かすため、当時のコンピューターの用途として代表的なものを、親しみやすい形で実装してみせたのでしょう。ワードプロセッサ、表計算、DTMという流れは現代にも通ずるものです。AIを連携させてみても、率直なところこれ以上の可能性の広がりは難しい。入力の代替は可能でも、その先が考えつきません。
| ボード | 受け取るもの | AIが肩代わりする工程 |
|---|---|---|
| カリキュレータ | 数式 | 式を組み立てて打つ |
| メッセージ | 文字列 | 文面を作って打つ |
| ミュージック | 音符の位置と長さの並び | 楽譜を操作手順に直して打つ |
どれも、AI側で対応したのは入力の代替です。AIを連携させてみても、率直なところこれ以上の可能性の広がりは難しい。AIに聞いてみても、入力の代替は可能でも、その先は考えつきませんでした。
今回、AIの拡張を通じて各ボードの設計や説明書を通じて、改めて開発者の想いに触れた気がします。「オリジナルロックンロール」を夢中で打ち込んで聞いた誰かに、AIも想いを馳せるのでしょうか。連載はここで一度終わりますが、この機械はまだ、次の入力を待っています。