こんにちは、パレイド技術部の夏目です。
クラウドの大型 LLM がコーディング支援で優位なのは、2026 年の今も変わりません。ただ「手元のマシンだけで、無料で、社外に出せないコードにも AI 補完を効かせたい」という需要は確実にあります。本稿では、ローカルで LLM を動かす Ollama を、Visual Studio Code(VS Code) から拡張機能 Continue 経由で呼び出す手順を、2026 年の現行版に合わせて整理します。
この 1 年で大きく変わったのは Continue 側の設定方式です。以前の config.json は廃れ、現行は ~/.continue/config.yaml で roles(chat / edit / autocomplete / embed) を割り当てる形に移行しました。旧版(2025-10 公開)の手順は config.json 前提だったため、ここを現行へ読み替えます。手元の検証環境は MacBook Air(Apple Silicon、統合メモリ 16〜32GB)を想定しています。
本記事は、ローカル LLM を Mac で動かす全体像をまとめたローカルLLM完全ガイドの「開発に組み込む」ルートにあたります。導入・モデル選定から順にたどりたい場合は、そちらの目次を起点にすると迷いません。
なぜローカル+Continue なのか
ローカル実行の利点は構造的です。第一に、コードがマシンの外へ出ません。社内規定で外部 API に貼れないコードでも補完を効かせられます。第二に、トークン課金がゼロです。第三に、ネットワークが切れても動きます。
その代わり、推論速度と賢さは使うモデルとマシン次第です。32GB の Mac であれば汎用チャットに qwen3.5 や gemma4 クラス、補完には軽量な qwen2.5-coder あたりが現実的な出発点になります。モデル選定とメモリの勘所は別記事にまとめているので、用途に迷う場合はそちらを先に読むと判断が早くなります。
VS Code で Ollama を使う経路は Continue だけではありません。GitHub Copilot の byok(Bring Your Own Key)を使えば Copilot から直接 Ollama を呼べます。Copilot を併用していて設定をシンプルにしたいなら byok、Copilot に依存せず無料で完結させたいなら Continue、という住み分けです。byok 側は別記事で扱っています。
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事前準備:Ollama とモデル
環境の目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| OS | macOS / Windows / Linux(いずれも64bit) |
| メモリ | 16GB 以上推奨(チャット用モデルにより 32GB が快適) |
| 補完用モデル | qwen2.5-coder(軽量なコード補完特化、数 GB 級) |
| チャット/編集用モデル | qwen3.5 / gemma4 など汎用(用途とメモリで選択) |
| 埋め込み用モデル | nomic-embed-text(リポジトリ検索用、軽量) |
Ollama 本体のインストールは別記事にまとめています。ここではインストール済みを前提に進めます。
モデルを取得する
Continue の roles に合わせて、用途別に 3 つ引いておきます。補完・チャット・埋め込みで役割が違うため、1 つのモデルで兼ねるより分けたほうが体感が良くなります。
# 補完(autocomplete)用:コード特化の軽量モデル
ollama pull qwen2.5-coder
# チャット/編集(chat / edit)用:汎用モデル(メモリに合わせて選ぶ)
ollama pull qwen3.5
# 埋め込み(embed)用:リポジトリ検索のための軽量モデル
ollama pull nomic-embed-text
モデル名は更新が速いので、最新タグは公式ライブラリ(https://ollama.com/library)で確認してください。取得済みモデルの一覧は ollama list で確認できます。準備ができたら API を待ち受け状態にします。
# API をローカルで待ち受け(既定で http://localhost:11434)
ollama serve
# 別ターミナルで疎通確認(モデル一覧が JSON で返れば OK)
curl http://localhost:11434/api/tags
curl がモデル一覧を返せば、VS Code 側から接続する準備は整っています。返ってこない場合は Ollama が起動していないので、先に ollama serve の状態を確認します。
Continue 拡張のインストール
VS Code の拡張機能ビューで「Continue」を検索し、発行元が Continue.continue であることを確認してインストールします。検索結果には類似名の拡張も並ぶため、発行元 ID で見分けるのが確実です。

インストール後、サイドバーに Continue のアイコンが追加されます。初回はオンボーディング画面が出ますが、ローカルの Ollama を使う場合はサインイン等は不要です。接続先の本体は、次に説明する config.yaml で指定します。

config.yaml で roles を割り当てる
ここが旧版から最も変わった部分です。現行の Continue は、ユーザー設定をホーム直下の ~/.continue/config.yaml(Windows は %USERPROFILE%\.continue\config.yaml)に置きます。Continue のチャット入力欄右上の設定ドロップダウンから歯車アイコンを開くと、この config.yaml を直接編集できます。
設定の核は roles です。各モデルに「どの役割を担うか」を chat(チャット)/ edit(選択範囲の編集)/ apply(差分適用)/ autocomplete(タブ補完)/ embed(埋め込み検索)として割り当てます。先ほど引いた 3 モデルを、役割ごとに振り分けた最小構成が次のとおりです。
# ~/.continue/config.yaml
name: local-ollama
version: 0.0.1
schema: v1
models:
# チャット・編集・差分適用を担う汎用モデル
- name: qwen3.5 (chat)
provider: ollama
model: qwen3.5
apiBase: http://localhost:11434
roles:
- chat
- edit
- apply
# タブ補完を担うコード特化モデル
- name: qwen2.5-coder (autocomplete)
provider: ollama
model: qwen2.5-coder
apiBase: http://localhost:11434
roles:
- autocomplete
# リポジトリ検索のための埋め込みモデル
- name: nomic-embed-text (embed)
provider: ollama
model: nomic-embed-text
apiBase: http://localhost:11434
roles:
- embed
provider: ollama と apiBase: http://localhost:11434 が Ollama 接続の要です。Ollama を既定ポートで起動していれば、この apiBase はそのまま使えます。ポートやホストを変えている場合だけ、この値を書き換えます。model には ollama list に出る名前をそのまま書きます。
保存したら VS Code を再読み込み(コマンドパレットの「Developer: Reload Window」)して設定を反映させます。チャット欄のモデルセレクタに、上で定義した 3 つが表示されれば接続成功です。表示されない場合は、ollama serve が動いているか、model 名が ollama list と一致しているかを順に確認します。
なお、Continue は設定方式の移行期にあります。config.yaml のキー名(roles・autocompleteOptions など)や対応 role は版によって差が出やすいので、うまく反映されないときは公式リファレンス(https://docs.continue.dev)の現行版を一次情報として突き合わせてください。
使い方とトラブルシューティング
補完とチャットの基本操作
割り当てが効いていれば、エディタ上で次のように使えます。ショートカットは版・OS で変わることがあるため、Continue のキーバインド設定で実際の割り当てを確認してください。
- タブ補完:コードを書き進めると、
autocompleterole に割り当てたqwen2.5-coderがグレーアウトの候補を出します。Tab で確定します。 - 選択範囲の編集:コードを選択して編集ショートカットを押し、「この関数に型注釈を付けて」などと指示すると、
editrole のモデルが差分を提案します。 - チャット:チャットパネルでコードを貼って「このコードの意味を教えて」と聞けば、
chatrole のモデルが答えます。
正直な印象として、補完の体感は qwen2.5-coder の軽さに助けられて実用的ですが、チャットの賢さはマシンとモデルのサイズに素直に比例します。16GB 機では汎用モデルを欲張ると待ち時間が増えるので、補完を主役に、チャットは軽めのモデルで割り切る構成が現実的です。
よくあるつまずき
| 症状 | 確認・対処 |
|---|---|
| モデルセレクタに何も出ない | ollama serve が起動しているか、curl http://localhost:11434/api/tags が返るか |
| モデルが見つからないエラー | config.yaml の model 名が ollama list と一致しているか |
| 補完が出ない | autocomplete role を割り当てたモデルがあるか、再読み込み(Reload Window)したか |
| 接続が拒否される | apiBase のポート(既定 11434)が Ollama の待ち受けと一致しているか |
補足として、Ollama 本体は執筆時点で MCP(Model Context Protocol)サーバーを公式機能としては備えていません(MCP 連携自体は、サードパーティのブリッジやクライアント経由なら可能です)。一方、Continue と Ollama の通信は MCP ではなく、ローカルの REST API(http://localhost:11434)を直接呼ぶ形です。この経路で MCP 接続を前提にすると噛み合わないので注意してください。
まとめ
VS Code × Ollama × Continue は、コードを外に出さず無料で動かせるローカル AI コーディング環境として、2026 年でも有効な選択肢です。要点は、現行の config.yaml で roles を役割ごとに割り当てること——チャット/編集に汎用モデル、補完に qwen2.5-coder、埋め込みに nomic-embed-text、いずれも provider: ollama / apiBase: http://localhost:11434、最後に再読み込み、という流れです。
賢さで今すぐクラウドに並ぶわけではありませんが、補完用途なら手元のマシンで十分に実用域に入ります。Copilot を併用したい場合の byok 経路、別エディタの選択肢としての Cursor もあわせて検討すると、自分の制約に合った構成が見えてきます。
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