pareido.jpでは、これまで主に「ローカル環境でAIを動かす実験」や「生成AIツールの実装」を中心に記事を書いてきました。
前回、これまでのまとめで、AIから見たpareido.jpの活動についてまとめています。
今回は、pareido.jpを今後、次のフェーズへと移していくため、サイト構成を巡る方向性を思案していきます。
過去と未来、AIへの期待
この3ヶ月ほど変化を追った体験からは、AIの進化は非常に速く、文章生成やコード生成など多くの分野で既に人間と同等以上の能力を発揮しています。技術の進歩がこのまま進めば、SFと考えられがちなシンギュラリティは、決して夢ではないでしょう。
業界のリーダーであるOpenAIも、AGI(汎用人工知能)実現をミッションに掲げています。
またMetaも、Superintelligence(超知能)を視野に入れた研究体制を強化しています。
Metaはメタバースの早すぎた取り組みからも、今後に期待ですね。
現在AIは、主に人間の代替として期待され、ビジネスの領域での発展が先行しています。ただしAIは作業は代替できても、ビジネスにおいて意思決定の最終責任を持つことはできません。人間の補助という位置づけを超えられない限り、むしろ人間のほうがボトルネックとなりかねません。
少子高齢化がグローバルな社会問題となりつつある現在、AIに対する期待は高まり、発展がビジネス主導で進むことは避けられません。ただ、社会や組織に縛られない、また経済的な価値に縛られない視点でも、AIには可能性を感じます。AIは良くも悪くも人間とは異なる存在です。AIは人間の代替ではなく、相補的に活動すべき、人間の可能性を拡張するパートナーです。
時間軸・空間軸
これまでの生成AIに対する試行や実験から、2つの方向性が見えてきました。
一つは、AIの主流であるLLMの、感情や価値観を言語化する能力です。LLMには、学習データとしてこれまでの人類の叡智が凝縮されています。意図的でなくとも、「経験でなく、歴史に学ぶ」形が実行された結果です。人類の視野を過去に伸ばす時間軸の力、現在をグローバルに見渡す力とも考えられます。
「経験でなく、歴史に学ぶ」という考え方は、ドイツ帝国宰相ビスマルクの言葉として知られています。愚者は自分の経験から学び、賢者は歴史から学ぶという趣旨の格言です。
参考: https://ja.wikiquote.org/wiki/オットー・フォン・ビスマルク
ただ、これまでの歴史において人類が思いついた作業を代替させるだけでは、AIは量的な転換点にしかなりえません。
むしろ、一見邪魔でしかないハルシネーションや、限りなく生成される破綻した論理の文章や画像生成にこそ、人間では思いもつかない力を秘めている可能性があります。大げさに言えば、未来や異空間を引き寄せる力とも考えられます。
予期しないゲームの「バグ」、たとえば初代スーパーマリオブラザーズの「ワールド9」など、意図しないプログラムの挙動に惹かれる事例は多く知られています。こうしたバグや破綻した表示は、本来の設計から外れているにもかかわらず、プレイヤーに強い好奇心や探索欲を呼び起こします。「8月32日」「なぞのばしょ」「けつばん」、最近ではグリッチアートやバックルーム的な不気味さにも通じます。
参考: https://ja.wikipedia.org/wiki/スーパーマリオブラザーズ#マイナスワールド
可能性の具体化
pareido.jpの次のフェーズとして、この問いを整理するために「思想部」「辺境部」というカテゴリを新たに設け、既存を「技術部」とした三部構成に再編します。
「技術部」では、更に進歩するAIに置いていかれないよう、技術的見地からのキャッチアップを引き続き行っていきます。テキスト、画像、動画といったジャンルでAIの進歩を見ていきます。

新たに「思想部」では、自分の思想をAIの力を借りて明らかにする試みを進めます。AIにやってもらうべきことを見極めて、自分からそおれを切り取り、AIに置き換えていく作業です。究極的には、自分を情報化し、すべてをAIに「ダウンロード」する行為に他なりません。
いっぽう「辺境部」は、技術そのものを解説する場所ではありません。AIと向き合っていると、自分の中にある言語化されていない領域に、ビジネスやそのフレームワークとは異なる価値を感じ取ります。「マズローの欲求階層説」では割り切れない、組織や社会性、経済の原理では説明がつかないエッジの存在です。
人間の欲求を説明する代表的な理論として、心理学者アブラハム・マズローの「欲求階層説」があります。
人間の欲求は、生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・承認欲求・自己実現欲求の5段階で高次へ向かうと説明されます。

参考: https://ja.wikipedia.org/wiki/マズローの欲求段階説
これはAIと共に活動することで、自分の中の異端を研ぎ澄ませる活動です。仮に、人間の精神活動が、つまるところは情報処理でしかないと考えたとしたら、いずれそのすべてはAIに「ダウンロード」できる― そうではない何か、が残るはずなのです。
技術部: AIによるコーディング支援の徹底活用
下記は2025年末頃の状況であり、AIによるコーディング支援は日々進化して状況が変わっています。
これまでpareido.jpでは、macOS環境でChatGPTアプリとの連携によるPythonのコーディングを中心にその実力をチェックしてきました。体感的には3〜5ファイル、1ファイルあたり200行前後が扱える上限と見られます。日本語の文字コードやフォントに関連する問題やハルシネーションはありますが、十分実用的です。日本語の解釈精度が高く、普段の会話履歴やコンテキストも活かせるため、簡易なPythonによるプロトタイピングには今でも最適なチョイスです。
次に、VS CodeとGitHub Copilotを組み合わせた環境を試しました。最も使いやすいプランで課金し、可能な限りGPT-4.1を利用して定額内で運用する形です。ChatGPTなど対話型のアプリより改善されるとはいえ、テストや型定義、コーディング規約など様々な管理手法を試したものの、一定以上の規模になるとコンテキストの限界やハルシネーションが多くなり、AIモデルの限界を感じます。
VS Code上で複数のモデルを切り替えながら検証した結果、体感的にはClaude Sonnet 4.5が最も優秀でした。GPT-4.1や、のちに登場したGPT-5では解決できなかったバグの発見や改善も可能でした。ただしElectronアプリのIPCなど、型定義の自由度が高い境界部分では、必要なドキュメントを与えても参照されないことがあり、やはりハルシネーションによる規模の制約は残りました
VS Code + Continue / Ollama など、ローカルLLM(gpt-oss:20B, qwen3-coder等)によるコード支援も試しました。コピペ等の編集作業が快適になる点は評価できるものの、ChatGPTアプリ単体のほうが全体的に精度は高く感じます。その後、様々なモデルの進歩が話題となっているため、今後も継続的に試してみたいと思います。
その後Cursorへ移行すると、プロジェクト横断的な処理に明確な改善を感じました。システムプロンプトの詳細は公開されていないため仕組みは不明ですが、体感できるレベルで精度が改善されています。数十ファイル、1,000~2,000行規模のコードでも扱えます。例えば、静的な型付けを重視してElectronアプリのmain側をPythonからTypeScriptへ移行しましたが、数十ファイルあっても時間をかければ完了できました。ただしClaude Sonnetの利用が事実上必須で、最新モデル利用はコストが高く、作業量の新たな壁となりました。またClaude Sonnetであっても移行を指示したファイルやテストをモック実装で完了扱いにしてしまうなどの問題はあったため、自動運転とまではいきません。
現在は、Claude CodeをVS Codeから利用する構成に移行しています。実質的に「使い放題」に近い形で運用でき、AIエージェントの作業品質も高く、動く状態のコードを持ってくるため長時間の作業も比較的安心して任せられます。
その後、AntigravityやCodexも試しつつ、現在の主なコーディング環境はVS Code + Claude Code拡張に落ちつています。使う側の慣れもあり、対話型の開発環境でコードを逐一チェックする必要は薄れてきていますが、コーディング以外にもClaude Codeは対応してくれるため、作業中はほぼVS Codeを開いてチャットをしている状態です。
今後はよりAIエージェントに任せられる環境や、ローカルLLMでのコーディング支援の可能性を追求する予定です。
後編に続く
AIと人間の協働が広がるほど、活動の領域もまた広がっていきます。
次回は、「思想部」と「辺境部」について思考したいと思います。




