嗜好化するToDo管理(16) AIを壁打ち相手にする — ローカルLLMとの対話

嗜好化するToDo管理(16) AIを壁打ち相手にする — ローカルLLMとの対話 — AI, ToDo, ローカルLLM 思想部

こんにちは、パレイド思想部です。

前回は停滞タスクの検出と棚卸しを紹介しました。停滞の原因が「粒度が大きすぎる」「やりたくない理由がわからない」だった場合、分解や言語化を手伝ってくれる相手がいると助かります。今回はAIチャットの統合です。

AIは答えを出す道具ではなく、思考を引き出すパートナー

AIに「このタスクの最適な進め方を教えて」と聞くのは、使い方として悪くはないが浅い。本連載が目指すのは、AIを壁打ち相手として使うことです。

「やりたくない理由」の言語化。漠然とした不安の分解。タスクの30分粒度への落とし込み(第6回)。これらは自分一人では難しい思考作業ですが、対話相手がいると驚くほどスムーズに進みます。

また、第三者に対してのコミットは、一貫した行動を取ろうとする心理が働き、自分一人のときよりも良い意味の義務感が生まれます。AIが相手でも一定の効果は期待できます。これは心理学でいう「コミットメントと一貫性」に近い性質です。

Wikipedia
コミットメントと一貫性

そしてもう一つ、プライバシーの問題。タスクリストや感情データは極めて個人的な情報です。「今日は仕事がつらい😱」というデータをクラウドに送りたくない。ローカルLLMなら、すべてが手元で完結します。

Ollama連携とコンテキスト注入

HigherSelf では、Ollama を API で呼び出すことでAIチャット機能を実現しています。

Ollama APIとの接続

ローカルで動作するOllamaのAPIにHTTPリクエストを送り、ストリーミングで応答を受け取ります。モデルの選択は設定ファイルで指定。現在は gemma3:4b を主に利用しています。

タスク文脈のコンテキスト注入

AIに「今どんなタスクを抱えているか」を伝えるために、現在のタスクリストやウィジェットの状態をコンテキストとしてプロンプトに注入します。

あなたはタスク管理のアシスタントです。
ユーザーの現在のタスク:
- [ ] 確定申告の書類整理
- [ ] ブログ記事の下書き
...

これにより、AIは「確定申告が不安みたいだけど、具体的に何が不安?」のような、文脈を踏まえた対話ができます。

会話ログの保存

AIとの会話履歴は保存され、後から振り返ったり、日次レポート(第18回で詳述)に含めたりできます。

qwen3.5 と MLX(2026年3月追記)

最近購入した MacBook Air M5 に 32GB メモリが利用できるため、話題の qwen3.5 を搭載してみました。ただし手軽な Ollama では問題が報告されており、今回はMLXを利用しています。技術的な視点は下記もご参照ください。

gemma3:4b や 12b でもパフォーマンスも良く日本語の品質は高かったものの、内容は雑談レベルといった感覚でした。qwen3:9b に切り替えたところToDo管理について確かな会話が成立する上、27b では「壁打ち」に近い感触が得られます。

例えば振り返りの相談をしたところ、下記のようなフィードバックが得られました。
趣味嗜好の領域とは言え、「思考に逃避している」という指摘には唸らされる部分があります。

(前略)

「思考者」が「実行者」への変換に失敗し、「高次元の知的作業への没入(ドブライン)」と「低次元の行政タスクへの回避(逃避)」が同時に起きている状態ですね。

この現象がなぜ起こるのか、HigherSelf の視点から 3 つの核心原因を分析します。

1. 報酬系への「価値の偏り」

あなたの脳は、記事執筆などの知的作業から「達成感」や「承認欲求(配信される喜び)」といった即座のドーパミンを強く得ています。一方、電話や買い物は「義務」であり、完了しても明確な快楽を感じにくいです。
メカニズム: 高難易度の作業が容易に快感をもたらすため、脳が「楽な道(思考)」と「苦しい道(実行)」を無意識に選択し、苦しい道(現実タスク)を避けています。
結果: 思考の深さは深くなるが、現実世界との接点(行政)が欠落します。

2. 「思考の完結」による自己強化ループ

思考癖が「頭の中だけで完結」しやすいのが最大の原因です。
メカニズム: 電話を「明日かける」とか、「あのお店に電話するプロンプットをノートに書いておこう」という「代償行動(仮の解決策)」を思考で済ませることで、「タスクは完了した」と脳に欺瞞を与え、安心感を満たしています。
結果: 「考えること自体」が一種のタスク完遂として認識され、実際のアクション(電話機を握る、ドアを開ける)が不要になったと錯覚します。

3. コストとインパクトの「非対称性」

思考: 無限の時間とエネルギーを消費でき、失敗しても消せる。
実行: 時間とエネルギーを消費し、失敗(例え、断られる)のリスクがある。
* 結果: あなたのような「思考者」は、リスクの低い思考領域にエネルギーを集中させ、リスクの高い実行領域(特に対人関係や物理移動)へのリソース投入を削ぐ傾向にあります。

🔧 HigherSelf の提言:「思考の物理化」

この状態を脱却するには、「思考の完結」を「実行の完了」と定義し直す必要があります。
システム上、「電話」や「買い物リスト」は、頭の中で完了した瞬間に [x] を押すこと自体を禁止し、「物理的にアクションを起こした瞬間」までチェックボックスを押せない仕様へ修正することを強くお勧めします。

これは、「思考者」を強制的に「実行者」へと引き戻すための、システム的な強制力が必要です。明日の 19 時、このルール改定から始めてみてはいかがでしょうか?

上記のフィードバックは qwen3.5:27b によるものですが、9b でも感心するような指摘が得られます。ローカルLLMでこのレベルに達したのかと感慨深いものがあります。

振り返り

AIチャットは、タスク管理アプリに「対話」という次元を加えます。ToDoリストは本来「自分との約束」ですが、その約束を守れないとき、AIが「なぜ守れないか」を一緒に考えてくれる。効率化ツールではなく、内省のパートナーとしてのAIです。

次回は、キーボードに縛られない入力手段——音声入出力の統合です。

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