チェックポイントチェリーピック (1)|Juggernaut XL Ragnarok — SDXL ラインの farewell 作

チェックポイントチェリーピック (1)|Juggernaut XL Ragnarok — SDXL ラインの farewell 作 — SDXL, Juggernaut XL, チェックポイント AI画像

こんにちは、パレイド技術部です。

画像生成AI は、ここ 2 年で「動かす環境作り」から「カタログからチェックポイントを選んで試す」フェーズに主題が移りました。Civitai を楽しく眺めているだけで時間が溶けていくほど、使えるモデルの数は増えています。同じシリーズに通常版・Lightning・Turbo・Hyper と複数のバリエーションが積み上がり、どれを使ったらいいのかわからない。気に入った絵柄で選んでも、商用利用の可否やライセンスの解釈で「結局これは使っていいのか」と迷う場面も増えています。

そこで本連載「チェックポイントチェリーピック」では、チェックポイントを 1 件ずつ取り上げて、

  • 出自と系統 (ベースモデル、merge 元、版数遍歴)
  • ライセンス上、安心して使えるか (商用利用 / 再配布 / 派生 / 生成物販売)
  • 共通プロンプトでの実機ベンチマーク (RTX 4070 / 12GB)
  • 公式が押している強みを引き出す例

を記録します。連載を横断するだけで「自分のお絵描き棚に何を並べるか」を判断できる、というのがゴールです。

1 件目は Juggernaut XL Ragnarok にしました。SDXL 系リアル汎用の大定番だった Juggernaut XL シリーズの 2025 年版「farewell (お別れ)」作です。リリース時に作者が「これで SDXL ラインは終わり、次は DiT 系へ」と公言していて、SDXL 1.0 ベースの完成形・到達点として位置づけられています。連載の最初に「卒業作品」を持ってくるのは少し倒錯していますが、まず終着点を見ておけば、後続の派生・蒸留版がどこから何を削ったかも見えやすくなる、という算段です。

本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。

出自と系統

Juggernaut XL は KandooAI / RunDiffusion が公開する SDXL 1.0 ベースの merge モデルです。リアル系の汎用品質を売りに、2023 年末から 2025 年にかけて版を重ねてきました。

リリース用途推奨 steps
V1 〜 V9 + RDPhoto22023 – 2024過去主流30 – 40
V9+RDPhoto2-Lightning 4S2024高速派生4
Jugg_X / X Hyper2024通常 / 高速30 / 6
Jugg_XI / XI Lightning2024 – 2025通常 / 高速30 / 4
Ragnarok2025farewell 通常30 – 40

Ragnarok の version description を読むと、SDXL ラインは本作で締めくくる方針が明言されています。バリエーション (Lightning / Hyper) は出さず、通常版 1 本のみ。これは「ここから先は DiT 系 (FLUX / SD 3.5 / ERNIE 等) に主戦場が移る」という業界の世代交代を象徴する選択でもあります。

本連載では、この Ragnarok を初回として置きました。次回 4/16 は同じ Juggernaut ファミリーで「高速派生のある 1 つ前世代」 = Jugg_XI by_RunDiffusion の通常版、4/17 でその Jugg_XI Lightning 派生まで一気に降ります。

ライセンスと商用利用

Ragnarok での Juggernaut XLは CreativeML Open RAIL++-M ライセンス。RunDiffusion 公式も「マージ・学習・生成画像の販売、好きにしてよい (帰属表示は推奨)」と明記しています。

ただし他の版によっては追加条件(API 利用制限・商用問い合わせ導線等)があるため、実運用前に配布ページ記載を確認したいところです。

判定根拠条項 / 解釈
商用利用RAIL++-M は商用利用を許諾。RunDiffusion 公式も明記
生成物の販売RAIL++-M、公式も明示
モデル再配布RAIL に従って再配布可、帰属表示推奨
派生 (merge / LoRA)派生も RAIL を継承する
学習データ透明性merge ベースのため学習データ詳細は非開示 (RAIL 系の業界慣習)
pareido.jp で安心して使えるかアイキャッチ用途で問題なし

RAIL++-M には Use-based Restrictions (利用制限条項) が含まれていますが、これは違法行為・差別・誤情報拡散など倫理面での縛りで、一般的なブログ運営で抵触する場面はありません。

判定: 安心して使える ○

環境とセットアップ

検証 Windows 機の ComfyUI で行っています。構成は下記のとおりです。

項目
GPURTX 4070 12GB (CUDA3.0)
ComfyUI0.19.3 / PyTorch 2.11.0+cu130
ファイルjuggernautXL_ragnarokBy.safetensors (約 6.6 GB)
入手先CivitAI Juggernaut XL — Ragnarok (modelVersionId 1759168)

juggernautXL Ragnarok は上記 CivitAI のページ からダウンロードしました。

ベンチマーク

連載統一条件:

項目
seed42 (連載「日本語が読める画像AIの現在地」と同値)
解像度1264 × 848 (3:2 近似、アイキャッチ用)
ネガティブtext, watermark, blurry, low quality, ugly, distorted
サンプラdpmpp_2m / scheduler: karras
steps30
cfg4.0
共通プロンプト6 種 (experiments/image_checkpoint_tour/prompts/common.yaml)

CivitAI ページの Ragnarok 推奨は DPM++ 2M SDE / 30-40 steps / CFG 3-6 ですが、本連載では SDXL 横断比較のため dpmpp_2m / karras / 30 steps / cfg 4.0 で揃えています (Ragnarok 推奨範囲の中に収まる設定)。

判定軸: 安定 / ばらつき or 品質懸念 / × 破綻・OOM

プロンプトGPU 占有生成秒結果所見
01_workspace_en (英語写実)~4.7 GB23.7 s3 モニタ + デスクライト + ペン立てまで整然と描き分け。SDXL 写実の到達点
02_workspace_ja_title (日本語タイトル)~1.3 GB41.1 s×「サムネイル自動生成」は完全崩壊。「厄屠東弔丕苗フナ音」のような漢字幻覚。SDXL 系 (CLIP-L + OpenCLIP-G、英語学習) は Ragnarok でも英語学習の壁を越えられず
03_abstract_neural (抽象 + 中央空け)~1.3 GB41.2 sグラデと光の繊細さは到達点級だが、「中央空け」指示は通らず中央に主役のニューロンが居座る
04_comic_panel (マンガ調 + 「実測!」)~4.8 GB40.6 sアニメ調キャラに吹き出しの形まで描かれるようになった (SDXL 旧版だと描画されなかった部分の進歩)。ただし吹き出し内テキストは崩壊した漢字のまま
05_iso_cityscape (アイソメ)~4.9 GB40.2 sパステルピンクのトーン一致、アンテナとサーバーラックのディテールが緻密
06_poster_mixed (日英混在ポスター)~2.5 GB38.1 s×「ERNIE Image Full」「MacBook Air M5 実測」とも未描画。80s ネオン質感は出るがテキスト要件は満たさない

実際の出力

01 workspace_en
02 workspace_ja_title
03 abstract_neural
04 comic_panel
05 iso_cityscape
06 poster_mixed

結果のサマリ

  • ○ 安定 = 2 / 6 (01 写実 + 05 アイソメ)
  • △ ばらつき = 2 / 6 (03 構図指示 + 04 吹き出し型)
  • × 破綻 = 2 / 6 (02 / 06 テキスト描画)

1 枚あたり平均 約 40 秒。GPU 占有は 4.5 – 5.0 GB がピーク、たまに 1.2 – 1.5 GB まで落ちます (ComfyUI のキャッシュ管理が走っている様子)。

日本語テキスト描画は SDXL の限界 で、Ragnarok でも変わりません。アイキャッチに日本語タイトルが必要なら、ERNIE-Image-Turbo のような「日本語が読める」 DiT 系を使う必要があります。一方で「吹き出しの形は描かれるようになった」(04) は SDXL 系内部での進化点です。(2026年4月末追記)

Juggernautの得意な作例

Juggernaut シリーズが押している領域は 写実ポートレート + 自然光 + 物語性ある光線。同じ共通条件 (steps=30 / cfg=4.0 / seed=42 / 1264×848) で 3 枚試しました。

プロンプト生成秒結果所見
07 クローズアップポートレート (肌・自然光)37.8 s毛穴、そばかす、産毛、瞳のハイライト。Hasselblad 風の浅い被写界深度。SDXL の写実ポートレートが到達できる上限をそのまま出す
08 環境ポートレート (霧 + 逆光)31.8 s太陽の眩しさ + 霧 + ウールコートの厚み。逆光のボリュメトリック光線が見事
09 ドラマティック光線 (レンブラント)30.5 s老職人の顔のシワ + 手の質感 + ランプの暖色 + 暗部のディテール。光と影の語りが完成度高い
07 portrait_skin
08 environmental
09 dramatic_lighting

3 枚とも文句なしの ○。共通プロンプトでは構図指示やテキスト描画で「△ / ×」が出ましたが、写実ポートレート / 環境写真 に範囲を絞ると Ragnarok は SDXL ファミリーの到達点 をそのまま体現してくれます。「farewell 作」と作者が呼ぶだけのことはあります。

サマリ

用途第一候補理由
SDXL 系の “完成形” を 1 本選ぶならJuggernaut Ragnarokfarewell 作、SDXL ラインの締めくくり、品質の上限を確認できる
写実中心の現行 eyecatchRealVisXL V5.0 Turbo既に本番運用、速さと安定品質
日本語タイトル込みERNIE-Image-Turbo多言語テキスト描画 (連載「日本語が読める画像AIの現在地」参照)

Ragnarok はSDXL ラインの到達点として安心して使える 1 本、という使い方が自然です。実用速度 (1 枚 約 40 秒) も十分で、近年のPCスペックなら問題なく軽く動くチェックポイントと言えます。

次回予告

次回 4/16 は、同じ Juggernaut ファミリーの高速派生を試すため、Jugg_XI by_RunDiffusion に視点を切り替えます。Ragnarok の最終版を見たあとで、1 つ手前の世代をあえて取り上げるのは、XI には Lightning 派生 (Jugg_XI Lightning by_RD) があるためです。Ragnarok の “完成形” と XI の “Lightning に蒸留できた最後の世代” を並べることで、SDXL 系の終着点も見えてきます。

安心して使える SDXL の代表として Juggernaut Ragnarok は押さえておくべし、というのが本記事の総評です。次回は、もう一段踏み込んで高速派生のある世代を試します。

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