こんにちは、パレイド思想部の梨本です。
漫画やアニメ、ゲームといったコンテンツには、しばしば「日本神話」をモチーフとしたキャラクターが登場します。魅力的な神々の描写は、神話の域を超えて、キャラクターとしても海外でも参照されることもしばしば。ここでは、古事記の本文をAIで分析して、神様一柱ずつの「キャラクターシート」を起こすという作業を行います。性格、見た目、口調、行動。引用されるキャラクターの記号に、原典の記述を割り当てていく作業です。
原典を読んで人物像を立てるのは、神話の研究者もゲームの制作者も、これまで手でやってきた仕事でした。それを機械に渡すと、どこまで通って、どこで止まるのか。その観察も兼ねて、今回から神様を一柱ずつ紹介していきます。初回はイザナギです。
本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。
古事記が書いたイザナギ
イザナギは、日本の国土を生んだ神です。のちに天を治めるアマテラス、夜を治めるツクヨミ、海を任されたのちに追放されるスサノヲ、この三柱の父にあたります。ここに書くのは古事記(武田祐吉の現代語訳)に記されている内容のみです。
一代を五つの場面に区切ると、こうなります。
- 国生み:天の神々から「この漂っている国を整えて固めよ」と矛を授かり、妻のイザナミと二柱で海水をかき混ぜてオノゴロ島を作る。島に立てた柱を回って結婚するが、女神のイザナミが先に声をかけたため生まれた子が育たず、天に上って占ってもらい、順序を入れ替えて結婚し直してから大八島国の島々を次々に生む。
- 黄泉の国訪問:亡くなったイザナミにもう一度会いたくて、死者のいる黄泉の国へ行く。「相談してくるあいだ、わたしを見ないでください」と言われたのに待ちきれず、髪に挿していた櫛の歯を折って火を灯し、変わり果てた妻の姿と、その体に生じた十柱の雷を見てしまう。
- 逃走:驚いて逃げる。髪の黒い蔓の輪を投げれば野葡萄が生え、櫛の歯を投げれば筍が生え、追手がそれを食べているあいだに走る。黄泉比良坂の坂本では桃の実を三つ投げつけて追手を退け、その桃に「人が苦しむときに助けてやってくれ」と頼んで名を与える。
- 決別:自分で追ってきたイザナミとのあいだを大きな岩でふさぎ、岩越しに別れの言葉を交わす。
- 禊と三貴子:「ずいぶん穢い国に行った」と言って水で体を清める(体を洗って穢れを落とすこの行いが禊です)。左目からアマテラス、右目からツクヨミ、鼻からスサノヲが生まれ、それぞれに天・夜・海を治めよと命じる。スサノヲだけは治めずに泣きわめき、「母のいる黄泉の国に行きたい」と答えたので、怒って追放する。
岩を挟んだ別れの場面では、こんな言葉が交わされます。
「あなたがこんなことをなされるなら、わたしはあなたの國の人間を一日に千人も殺してしまいます」
「あんたがそうなされるなら、わたしは一日に千五百も産屋を立てて見せる」
引用は武田祐吉訳『古事記』から。訳者は 1958 年に没して著作権の保護期間が満了しているため、青空文庫で全文が読めます。死ぬ人数と生まれる人数の言い合いが、そのまま人口の起源として置かれている。ここまでが原典の記述です。
ローカル LLM が原典から抜き出した記号
この抜粋を読ませて、性格・見た目・口調・活動の項目に書き出させました。興味深いのは、「表と裏の落差」としてまるで人間の二面性が描かれていることです。キャラクター設定でいえば、表向きの顔と、条件が揃うと出てくる顔の対にあたります。
| 表向きの姿 | 裏にある姿 | きっかけ |
|---|---|---|
| 天の命を受けて国土を作り、三柱の子に統治を割り当てる創世の主神 | 亡き妻への未練で黄泉へ行き、その変わりようが怖くて逃げ惑う | イザナミの死と、黄泉の国訪問 |
| 結婚の順序の乱れを正し、命令に従わない息子を厳命で正す側 | 「見てはならない」という妻の言いつけを、待ちきれずに自分で破る | 妻への愛着と、衝動的な好奇心 |
一つ目は国生みと禊の場面から、二つ目は結婚のやり直しと黄泉の場面から採られていて、どちらも原典に書いてある行動をそのまま置き直しただけになっています。
離れた章の行動を突き合わせて対にする。やっているのはそれだけですが、神様が一人の人物(?)として輪郭が際立つのは、この並べ替えの効果でした。通して読めば誰でも気づける落差ですが、気づいたことを項目の形にまで落とすことで属性として整理できます。
なお、髪の色や目の色は古事記には一言も書かれていないので、出力には「推定」という印をつけています。推定には、書かれた当時の背景を踏襲しています。
ゲームのなかのイザナギ ──「ナカジマ」という名で
女神転生シリーズは日本神話の神々を大量に登場させてきましたが、シリーズ第一作のファミコン版『女神転生』(1987 年、ナムコ)に、イザナギは、人間の主人公「ナカジマ」がその生まれ変わりとして登場します。プレーを進めると、イザナギ・イザナミの神格も登場します。ストーリーは日本神話との関連は薄いものの、登場人物としては核をなす構成です。
他にも、「悪魔」として日本神話の神々や人物(?)が登場します。図鑑の何番に載っているかは、技術部の連載が ROM を解析して実測しています。主人公二人の能力値まで数字で出ているので、あわせてどうぞ。
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まとめ ── 次はイザナミ
古事記を読み直す作業と、ゲームがその神をどこに置いたかを見る作業は、別々のことをしているようで、同じ落差を使っているところに行き着きました。国を作る側であることと、怖くなって逃げること。どちらか片方だけでは、イザナギになりません。
この連載では、神様を一柱ずつ、同じ三層で紹介していきます。原典が書いた姿、機械が抜き出した記号、ゲームのなかの姿。次回は、岩の向こう側に残ったイザナミです。そのあとはスサノヲ、ツクヨミ、黄泉の魔女ヨモツシコメと続けていく予定です。