こんにちは、パレイド思想部の梨本です。
前回は、記述が一文しかない神ツクヨミを扱いました。今回は逆方向の欠け方です。出てくる場面はたった一つですが、その一場面に行動がぎっしり詰まっている相手を扱います。
先に名前の話をしておきます。武田祐吉の現代語訳では、この相手は「黄泉の国の魔女」としか書かれていて、ヨモツシコメという片仮名の名は出てきません。この名は古事記の原文(漢文・訓読文)に基づく通称で、今回参照した訳文の中では確認できていません。呼び名の出どころが違うものを、一つの記事で並べて扱っていることになります。
本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。
古事記が書いた「黄泉の国の魔女」
登場する場面は一つだけです。第1回のイザナギ回で「逃走」として扱った場面を、今度は追う側から見ます。
追跡は、細かく段取りが書き込まれています。
- イザナミが「わたしに辱をお見せになつた」と言い、黄泉の国の魔女を遣わして、逃げるイザナギを追わせる。
- イザナギが髪の黒い蔓の輪を投げると野葡萄が生える。魔女はそれを取って食べ、そのあいだにイザナギは逃げる。
- また追いつく。今度は櫛の歯を投げると筍が生える。魔女はそれを抜いて食べ、そのあいだにイザナギは逃げる。
- 次はイザナミの体に生じた雷の神たちに、黄泉の軍勢を添えて追わせる。イザナギは剣を後ろ手に振りながら逃げる。
- 黄泉比良坂の坂本まで来たところで決着がつく。
決着はこう書かれています。
「黄泉比良坂の坂本まで來た時に、その坂本にあつた桃の實を三つとつてお撃ちになつたから皆逃げて行きました」
引用は武田祐吉訳『古事記』から(青空文庫、パブリックドメイン)。この相手について書かれているのは、追ったことと、途中で食べたことと、逃げたことだけです。台詞は一つもありません。
名前についても差が出ています。追手を退けた桃のほうには、このあとイザナギがオホカムヅミという名を与えます。投げつけられた果実には名前がつき、追ってきた側は最後まで「黄泉の国の魔女」のままです。原典が誰に名を与えるかは、そのまま扱いの差になっています。
ローカル LLM が原典から抜き出した記号
場面は一つでも、行動が細かいぶん、落差は二件出ました。
| 表向きの姿 | 裏にある姿 | きっかけ |
|---|---|---|
| イザナミの命を受け、諦めずに追い続ける執拗な追手 | 野葡萄や筍に気を取られて、追跡を中断してしまう | 投げ与えられた食べ物 |
| 黄泉の軍勢を率いて黄泉比良坂まで追い詰める脅威 | 桃の実三つで全員が退散する | 桃 |
前回のツクヨミは落差ゼロでした。二つを並べると、記述の量ではなく、行動の数が落差を作っていると分かります。ツクヨミは一文で命令を受けただけ、こちらは一場面のうちに四回動いています。
口調の欄は空欄のままです。台詞がないので当然ですが、言葉がなくても、行動だけで人物が立つ書かれ方があるとも言えます。言葉の多かったイザナミとちょうど対になります。
弱点の欄には「食欲」と「桃」が並びました。強さと隙が、同じ一場面のなかに書き込まれています。見た目は例によってすべて推定の印つきです。
ゲームのなかのヨモツシコメ ── 仲魔にもできる
ファミコン版『女神転生』(1987 年、ナムコ)には、独立したエントリを持つ悪魔として登録されています。種族はチレイ。
ROM から実測された数値では、敵ステータスが HP50・強8・知10・攻8・速10・防9、仲魔にするとレベル 14・HP38・MP24 です。仲魔にした場合の MP には 38 という差異も確認されています。さらに、仲魔にするとサイ・ドルミン・パッチといった呪文を覚えることも、解析で分かっています。
原典では追いかけてくるだけだった相手が、ゲームでは連れて歩ける駒になっているわけです。数値と習得呪文は、技術部の連載の第3回・第4回で実測されたものです。
パレイド女神転生I 悪魔図鑑 — ROMから引き出した142体と能力値ベータ版です ヘカーテ/ルシファーの画像は調査中。ボスは強制エンカウントでは正しく描けず(実戦闘の背景込みの描画が要る)、「準備中」カードに…
ゲームの筋書き自体が古事記をなぞっているわけではなく、日本神話は名前やキーワードとして参照されている、という前提は前回までと同じです。
まとめ ── 五回でいったん区切り
五回でイザナギ、イザナミ、スサノヲ、ツクヨミ、そして黄泉の追手を扱いました。並べてみると、原典の記述量と、キャラクターとして立つかどうかは別の話でした。材料が多い神(スサノヲ)、一文しかない神(ツクヨミ)、場面は一つでも行動が多い相手(今回)。埋まり方はそれぞれ違います。
ゲームでの扱いもばらばらでした。図鑑に番号を持たない神(イザナギ・イザナミ)、番号を持つ神(スサノヲ・ツクヨミ)、仲魔として連れ歩ける相手(今回)。原典での位置と、ゲームでの配置は一致していません。
この連載はいったんここで区切ります。読ませる材料が増えたら、また続けます。