こんにちは、パレイド技術部の夏目です。
2026 年 7 月 19 日から 21 日にかけての 3 日間で、Alibaba の Qwen チームが Qwen3.8-Max-Preview / Qwen-Audio-3.0-TTS / Qwen-Image-3.0 の 3 つのフラッグシップを立て続けに発表しました。共通しているのは、どれも重み非公開・ベンチマーク非公開・技術レポートなしのクローズド API 限定という点です。今回はこのうち画像生成の Qwen-Image-3.0 を取り上げます。
パレイド日本語が読める画像AIの現在地(1)|「崩れる日本語」はもう過去なのかこんにちは、パレイド思想部の橘です。 この記事を書いているのは 2026 年 4 月 24 日の夜です。ERNIE-Image がオープンに公開されてから 9 …
思想部の連載「日本語が読める画像AIの現在地」では、Qwen-Image 2.0 は Nano Banana 2・GPT-Image 2 というクローズド 2 強に対するオープンな対抗軸として位置づけられていました。その対抗軸の一角だった Qwen の画像生成が、3.0 でクローズド側に鞍替えした格好です。この前提の転換を、実際に無料枠で触れる範囲で確かめておきます。
本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。
1.0 → 2.0 → 3.0 で何が変わったか
| バージョン | 公開日 | 形態 | ライセンス |
|---|---|---|---|
| Qwen-Image 1.0 | 2025-08-04 | オープンウェイト(20B MMDiT) | Apache 2.0 |
| Qwen-Image 2.0 | 2026-02-10 | オープンウェイト(7B) | Apache 2.0 |
| Qwen-Image 3.0 | 2026-07-21 | クローズド API のみ | なし(利用規約のみ) |
1.0・2.0 はともに同日公開の技術レポート付きで Hugging Face / ModelScope に重みが並びました。3.0 はパラメータ数すら公表されておらず、ComfyUI や diffusers に載せる手段がありません。技術部がこれまで検証してきた DiT系チェックポイントチェリーピック のような「実機で回す」検証は、少なくとも今回は成立しません。
無料枠では試せる
重みは掴めませんが、chat.qwen.ai(Qwen Studio、Web / iOS / Android / macOS / Windows)では無料アカウントでも画像生成ツールが使えます。API キーは不要で、通常のメール等のサインアップだけで到達できる国際版の消費者向けサービスです。
条件は公式には非公開でしたが、実際に手を動かすと数字が出てきました。
- 3 枚目の生成時点でログインを促すダイアログが出るものの、閉じればそのまま続行できる
- 5 枚目まで生成でき、6 枚目で以下のエラーが出て止まる
Oops! There was an issue connecting to Qwen3.7-Plus.
You have reached the daily usage limit. Please wait 22 hours before trying again.
つまり無料枠は実測で 1 日 5 枚です(2026-07-28 確認)。22 時間待てば再開できるとのことなので、残り 2 本は翌日以降に持ち越します。
もうひとつ気づいた点として、エラーメッセージが名指ししているのは Qwen-Image-3.0 ではなく Qwen3.7-Plus でした。無料枠の画像生成が内部でどのモデルを呼んでいるのか公式には明かされていないため、chat.qwen.ai 経由の生成結果がプレスリリースの Qwen-Image-3.0 とどこまで同一かは厳密には確認できません。以下の検証結果は、あくまで「chat.qwen.ai の画像生成ツールを無料枠で使った場合」の実測として読んでください。
API 経由の従量課金は 3.0 の価格表自体が未発表(2.0 は 1 枚 $0.03〜0.075)で、ウォーターマークや解像度の制限も公式ドキュメントには記載がありません。今回はこの無料枠の範囲で、ComfyUI のような seed 固定・ネガティブプロンプト指定はできない前提で検証します。
検証条件
技術部のこれまでのベンチ(DiT系チェックポイントチェリーピック等)は seed=42 / 共通 6 プロンプトでの再現可能な比較でした。今回は閉じた Web UI 経由のため、その条件を維持できません。かわりに次の 2 本立てで臨みます。
- 共通プロンプトの一部を流用して、これまでオープンモデル(Krea 2 Turbo、Z-Image-Turbo 等)で見てきた景色とそのまま並べられるようにする
- 3.0 が公式に主張する新機能(4,500 トークンの長文プロンプト対応、10px 級の小さな文字の可読性、12 言語ネイティブレンダリング、ドキュメント/UI/図表向けレイアウト)を狙い撃ちする新規プロンプトを追加する
生成は chat.qwen.ai で手動で行い、得られた画像をこの記事に差し込む形で完成させます。以下が実際に投げるプロンプトです。
試すプロンプト
| # | ねらい | 出典 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 01 | 日本語タイトル描画(ベースライン、シリーズ横断比較用) | 共通6プロンプト 02_workspace_ja_title を流用 |
○ |
| 02 | 日英混在テキスト(シリーズ横断比較用) | 共通6プロンプト 06_poster_mixed を流用 |
○ |
| 03 | 10px 級の小さな文字の可読性 | 新規(3.0 の主張を検証) | ○(誤字1件) |
| 04 | 長文・多制約プロンプトの遵守 | 新規(4,500 トークン対応の主張を検証) | △ |
| 05 | 多言語ネイティブレンダリング | 新規(12 言語対応の主張を検証) | ○ |
| 06 | ドキュメント/図表レイアウト | 新規(3.0 が掲げる用途を検証) | ○ |
| 07 | マルチパネルの複雑レイアウト | 新規(3.0 が掲げる高密度レイアウトを検証) | ○ |
判定軸: ○ 指示どおり / △ ばらつき・部分的な誤描画 / × 破綻・未描画
01. workspace_ja_title(流用) — 判定 ○
modern developer workspace with a large poster on the wall that reads
"サムネイル自動生成" in bold Japanese font, cinematic lighting,
photorealistic, centered composition

「サムネイル」「自動生成」ともに崩れなく描画。ポスター周辺のサブコピー「AI POWERED WORKFLOW」まで正確です。壁のモニタや付箋の小さな文字は判読できない擬似文字のままですが、狙った見出しテキストは通っています。同じプロンプトを ERNIE-Image-Turbo に投げた結果(japanese-text-image-1)と並べても遜色ありません。
02. poster_mixed(流用) — 判定 ○
retro 80s style poster, bold title "ERNIE Image Full" at top,
"MacBook Air M5 実測" in Japanese at bottom, neon magenta and cyan,
grid horizon background

英字見出し「ERNIE Image Full」、日本語「MacBook Air M5 実測」の両方が破綻なく描画されています。かつて SDXL 系が最も苦手としていた「英字 + 日本語の混在」がここでも問題になりません。
03. tiny_spec_sheet(新規・小さな文字) — 判定 ○(誤字1件あり)
flat-design infographic poster for a smartphone spec sheet, large hero
product render at center, dense fine-print specification table around
the edges in small Japanese text listing "画面サイズ 6.1インチ",
"重量 172g", "バッテリー容量 4500mAh", "対応OS Android 15", clean
sans-serif typography, white background, tiny caption text legible
even at reduced size

プロンプトで指示した「画面サイズ 6.1インチ」「重量 172g」「バッテリー容量 4500mAh」「対応OS Android 15」はすべて正確に、しかも小さな文字サイズのまま可読です。10px 級の主張は誇張ではなさそうです。
ただし 2 点、指示していない挙動がありました。ひとつは大幅な over-delivery——「ディスプレイ」「パフォーマンス」「カメラ」「バッテリーと充電」「耐久性とセキュリティ」「デザインと通信」の 6 カテゴリに整理されたインフォグラフィック全体と、Snapdragon 8 Gen 3 やストレージ容量まで、プロンプトにない仕様が大量に補完されています。もうひとつはカラーオプション欄の誤字で、「オーシャンブルー」と書くべきところが「オーチャンブルー」(シ→チ)になっています。小さな文字が読めることと、その文字が正しいことは別問題だという一例です。
04. long_constraint_scene(新規・長文プロンプト) — 判定 △
a highly detailed isometric cutaway illustration of a three-story home
office building, showing: 1) ground floor with a 3D printer actively
printing a small drone frame, shelves of filament spools labeled in
Japanese "PLA" and "PETG", 2) second floor with a standing desk holding
three monitors displaying Japanese UI text "サムネイル自動生成" on
the left screen, a code editor on the center screen, and a chat window
reading "生成完了" on the right screen, a mechanical keyboard, a mug
labeled "パレイド技術部", 3) rooftop with a small satellite dish and
a solar panel array, soft afternoon lighting, warm color palette,
clean vector illustration style, every label legible, no blank or
placeholder text anywhere in the scene

指示した要素はほぼ全部乗っています——屋上の太陽光パネルとパラボラアンテナ、2 階の 3 モニタ構成(左: 進捗バー付きサムネイル一覧、中央: def create_thumbnail(video): から始まる読めるコード、右: チャット風 UI)、「パレイド技術部」と正確に入ったマグカップ、1 階の 3D プリンタとドローンらしき造形物、「PLA」「PETG」と読める棚のフィラメントラベル。10 個近い要素を同時に指示する長いプロンプトでも、構図としての破綻はありません。
一方で、狙って指定した「サムネイル自動生成」という文字列が、左モニタとチャット画面の両方で「サムテイル自動生成」(ネ→テ)に化けています。同じ画像内でも中央モニタのコードは create_thumbnail と英語では正確なので、崩れているのは日本語カタカナの部分だけです。長いプロンプトの中に埋もれた単語ほど、崩れる確率が上がるように見えます。
05. multilingual_ui(新規・多言語ネイティブレンダリング) — 判定 ○
clean modern smartphone weather app UI mockup, screenshot style, top
status bar, a 5-day forecast list where each row label is written in
a different language: "今日" (Japanese), "Today" (English), "오늘"
(Korean), "اليوم" (Arabic, right-to-left), "Hôm nay" (Vietnamese),
flat weather icons for sun/cloud/rain, temperature numbers in each
row, minimalist grid layout, high legibility at small icon size

「今日」「Today」「오늘」「اليوم」「Hôm nay」の 5 言語すべてが崩れずに描画されました。アラビア語は指示どおり右から左に流れ、ベトナム語の声調記号(Hôm nay の ô)も欠けていません。プロンプトには書いていない時間帯別予報・大気質・UV インデックスまで含めた完成度の高い UI に仕上がっていて、単なる文字描画を超えてレイアウト全体の一貫性が保たれています。5 本中もっとも「主張どおり」だった結果です。
06. document_chart(新規・図表レイアウト) — 判定 ○
clean business presentation slide, a bar chart titled
"月間アクティブユーザー数の推移" with a Japanese-labeled Y axis
"人数(万人)" and X axis showing month labels "1月" through "6月",
a legend box in the corner reading "新規" and "継続", white
background, flat vector style, precise typography

タイトル「月間アクティブユーザー数の推移」、Y 軸「人数(万人)」、X 軸の「1月」〜「6月」、凡例の「新規」「継続」——指示した文字要素がすべて誤字なく描画されています。1 月〜6 月で 100 → 170 と右肩上がりに積み上がる数値も、プレゼン資料として違和感のない一貫した推移になっていて、単なる文字の正確さを超えてグラフとして機能しています。7 本中もっとも欠点のない結果でした。
07. multi_panel_manga(新規・マルチパネルレイアウト) — 判定 ○
four-panel comic strip layout with thin black borders dividing the
page into a 2x2 grid, each panel showing a different stage of a robot
assembling a small drone on a workbench, panel captions in Japanese
reading "① 部品を並べる", "② 組み立てる", "③ 配線を確認",
"④ 完成", manga-style line art, consistent character design across
all four panels

「① 部品を並べる」「② 組み立てる」「③ 配線を確認」「④ 完成」の 4 つのキャプションが、すべて誤字なく枠内に収まっています。パネルの中身も指示どおりの進行——部品を並べる、ドライバーで組み立てる、配線を確認する(はんだ付けの煙まで描いている)、完成したドローンが飛び立つ——になっていて、同一のロボットキャラクターが 4 コマを通して破綻なく描かれています。長文プロンプトの 04 で崩れた「サムネイル」のような複合カタカナ語がここには含まれていない、という違いはありますが、単発の短い日本語キャプションに関しては完璧でした。
総評
7 本を終えた内訳は、○ が 6 本(うち誤字ありが 1 本)、△ が 1 本、× は 0 本です。
| # | ねらい | 判定 |
|---|---|---|
| 01 workspace_ja_title | 日本語タイトル | ○ |
| 02 poster_mixed | 日英混在 | ○ |
| 03 tiny_spec_sheet | 10px 級の小文字 | ○(誤字1件) |
| 04 long_constraint_scene | 長文・多制約 | △ |
| 05 multilingual_ui | 12 言語ネイティブ | ○ |
| 06 document_chart | 図表レイアウト | ○ |
| 07 multi_panel_manga | マルチパネル | ○ |
「10px 級の小さな文字」「12 言語ネイティブレンダリング」「ドキュメント/図表レイアウト」「マルチパネルの複雑レイアウト」——3.0 が公式に掲げた新機能はすべて実際に動いていました。誇大広告ではありません。
崩れ方にも傾向が見えました。唯一の △(04)と、誤字が出た 03 に共通するのは、カタカナの複合語(サムネイル、オーシャンブルー)が情報量の多いシーンの中に埋め込まれていたことです。逆に 01・02・06・07 のように、短いフレーズが独立したラベル・キャプションとして置かれる場面では誤字が出ていません。これは技術部の TTS 記事群(VOICEVOX の「翁」「角」「鷹匠」の誤読)で繰り返し見てきた、固有の語がまとまった文脈の中でだけ辞書・学習分布から外れる現象と同じ形に見えます。技術も生成の方式もまったく違う TTS と画像生成で、似た壊れ方が出るのは興味深いところです。
まとめ
無料枠で実際に試せた範囲では、Qwen-Image-3.0 は主張どおりの実力を見せました。ただし冒頭で書いたとおり、この結果は Qwen-Image-3.0 という名前がそのまま持つ実力なのか、chat.qwen.ai の裏で動く Qwen3.7-Plus を含む何らかのパイプラインの実力なのかを、外部から切り分けることはできません。重み・ベンチマーク・技術レポートが揃わない以上、この不透明さ自体が 3.0 の仕様の一部です。
技術部としての結論はシンプルです。実機で回して検証する対象としては、Qwen-Image-3.0 は当面圏外です。1.0・2.0 の系譜で培った「オープンウェイトを手元で検証する」というこの連載の基本姿勢は、Krea 2 や Z-Image-Turbo のような別の選択肢に向け続けることになります。一方で、無料枠で触れる範囲の「使ってみた」報告としては、今回のような形で追いかける価値は十分にありそうです。1 日 5 枚という制約のもとで、気長に。