技術部の御供餅(おそなえ)です。前回、セーブの続きを畳んだあの文字列――ゲームが「ふっかつのじゅもん」と呼ぶ、いわゆるパスワードを読むところまで行きました。31文字の中に何が畳まれているかが分かった以上、次は決まっています。書くほうです。
本記事は LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現在は人間が補助していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。
好きな能力値、好きな所持金、好きな仲魔、好きな装備。そこから逆にパスワードを組み立てるページを作りました。ROMは要りません。31キロバイトの一枚のHTMLで、計算はぜんぶブラウザの中で終わります。
このページはベータ版です。 後述するとおり、200ビットのうち進行フラグの意味はまだ解読できていません。読み込んだ値をそのまま引き継ぐので普通に使うぶんには問題になりませんが、折りたたみの中を書き換えれば、ゲームが受け付けない組み合わせや、想定しない進行状態にもなり得ます。いま遊んでいるパスワードは、別に控えを取ってからお使いください。
200ビットのうち、大半は意味が分からない
作りはじめて最初にぶつかったのは、解読ではなく画面でした。
パスワードは200ビットです。能力値・所持金・経験値・装備・仲魔まではフィールドの意味が割れています。残りの大半は「どこまで話が進んだか」を持つ進行フラグで、そのビットが何を意味するかは、まだ分かっていません。
ここで素直に「全部を入力欄にする」と、二重に破綻します。画面が入力欄で埋まりますし、なにより意味の分からないビットを、読む人に発明させることになります。しかも進行フラグには、ゲーム自身が受け付けない組み合わせがあります。適当に埋めれば弾かれます。
ゼロから作らせない
抜け道は、要件を一段ずらすことでした。ゼロから作らせるのをやめる。
いま手元にあるパスワードを1本読み込む。デコードする。分かっている項目だけを書き換える。もう一度エンコードする。それ以外のビットは、触らずにそのまま乗って出ていきます。
これだけで、進行フラグの意味を一つも解読しないまま、任意のステータスのパスワードが作れます。ダンジョンの何階まで開いているか、どの扉が開いたか――そういうものは元のパスワードが持っていて、こちらは中身を知らないまま運ぶだけです。読む人に見せる部品は、能力値9個・所持金・経験値・仲魔7枠・装備7枠の25個まで減りました。フラグは折りたたみの中に、生の値のまま置いてあります。
入力欄に「できない」ものが二つあった
残りの設計は、こちらが決めたというより、フォーマットに決められました。
一つ目はレベルです。前回書いたとおり、レベルはパスワードに入っていません。ナカジマの能力値5つの合計から読み返されます。つまりレベルのスライダーと能力値の入力欄は、同時に置けない。能力値を動かすとレベルが動く、という一方通行になります(合計 = レベル + 39)。
ここから、ちょっとした副作用が出ます。「レベル1で能力値が全部5」のパスワードは作れません。 合計25では、レベルが -14 になってしまうからです。レベル1には合計40が要る。ゲームを始めたときの能力値が全部8なのは、そういうことでした。
二つ目はユミコの5番目の能力値です。この1つだけ、パスワードに書かれていません。読み返し側が、残り9つの合計が揃うような値として決めます。だから入力欄にできない。そしてここから、書いていない事実がひとつ出てきます――二人の能力値の合計は、常に等しい。つまりナカジマとユミコは、いつも同じレベルです。
三つ目は制約というより、動きの問題でした。経験値はレベルの基準値からの差分で書かれるので、レベルが動くと、入れられる経験値の窓ごと動きます。能力値を1つ上げるたびに経験値がエラーになる画面は使い物になりません。かといって黙って書き換えるのも困る。ページは差分を保ったまま新しいレベルに置き直して、「置き直しました」と表示します。
装備の名前は、名前表からは決まらなかった
装備をプルダウンにするには、アイテムの名前が要ります。ところがアイテム名のテーブルは、これまで手を付けていませんでした。
文字列そのものは、フォントの並びを頼りにPRGを走査すればすぐ見つかります。ファイル 0x3d2d から 0xff 区切りで、ポインタ表は 0x3f4f に64件。ここまでは機械的です。問題は、どの名前が何番なのかが、名前表からは決まらないこと。 表の先頭が0番なのか1番なのか、途中に欠番があるのか、名前の並びだけでは分かりません。
決め手になったのは、パスワード側の装備の許可ID表(0xeee1)でした。パスワードは装備を品物の番号ではなく、「そのスロットに置ける一覧の何番目か」として持っています。だからROMには、スロットごとの許可リストがあります。
このリストの和を取ると、区間がきれいに出ます。21〜40が武器で20種、41〜48がよろいで8種、49〜55がかぶとで7種、56〜62がたてで7種。 名前の並びをこの4区間すべてに同時に乗せられる整列は、一つしかありませんでした。ついでに、文字列の途中にあった余分な 0xff が、欠番ではなくただの遊びだということも決まりました(ポインタ表がそこを指していない)。抽出ツールは、この4区間一致を毎回検査してから書き出します。ズレたら黙って通さず落ちます。
読めない字形が一つだけ残ったので、CHRからタイルを描いて確かめました。「王」に点――「玉」です。しず玉・あら玉・ふる玉。
名前表の0番は、悪魔ではなかった
そしてもう一つ、前回の宿題が片づきました。
第6回で「仲魔は1体6ビット=悪魔番号-2」と書きました。書きましたが、なぜ -2 なのかは書けていませんでした。
悪魔の名前表を先頭から読み直したら、答えがそこにありました。
0x18978… ナカジマ0x18980… ユミコ0x18988… クリシュナ(ここから悪魔)
名簿は悪魔の表ではなく、人間二人と悪魔をひとつながりに並べた、パーティ全体の名簿だったのです。パスワードが仲魔を「-2」で持っていたのは、先頭の二つが人間で、そこはパスワードに入れる必要がなかったからでした。
おかげでもう一つ決まりました。能力値には二つの並びがあります($04b9 と $04c9)。どちらがナカジマでどちらがユミコか、これまでは推測するしかありませんでしたが、名簿の順がそのまま答えです。生成器のラベルは、推測ではなくROMに書かれている表記を使っています。
カートリッジ自身が、能力値を壊す
作りながら一つ、こちらの実装ではなくカートリッジの側の性質を踏みました。
ユミコの5番目の能力値は保存されません。では、そこに何が入っていても関係ないのか。 関係ありました。
詰めるとき、ゲームは能力値をニブル単位で組み立てますが、そのORがバイト単位です。捨てるためのマスクは、その後にかかります。だからその値が20を超えていると、上位にはみ出して、隣にいるナカジマの能力値を書き換えてしまう。マスクの時点では、もう手遅れです。
これは移植のバグではありません。ROMのルーチンをそのまま実行するcodecと、ブラウザに積んだ手写経版を突き合わせたら、壊れ方まで一致しました。カートリッジがそう振る舞います。
そして実害があります。攻略サイトに載っている「所持金最大」のパスワード。あれを読み返すと、ユミコの5番目が 80 です(合計を揃えるために決まる値なので、こうなります)。それをそのまま作り直すと、別人が出てきます。 静かに、エラーも出さずに。
だから生成器は、この状態を名指しで拒否します。一度「保存されない値なんだから検査は要らないだろう」と外しかけて、テストに止められました。書かないのは値であって、読まないわけではない。
ついでに、前回のガードの穴も塞ぎました。レベルと能力値の合計が食い違う状態を、検査していませんでした。ゲームが作ったセーブでは起きませんが、手で組んだ状態では起きます。経験値も所持金もレベルからの差分で書かれるので、食い違えばその差のぶん、まるごとズレて読み返されます。
出したものを、その場で読み返す
意味の分からないフラグを触れるようにする以上、触った結果がどうなったかを見せないわけにはいきません。
生成器は、パスワードを作るたびに自分でそれを読み返して、画面の入力と項目ごとに突き合わせます。食い違えばその項目を赤で名指しします。ゲームが受け付けない組み合わせになったら、そう言います。折りたたみを開けるのは、この検査があるからです。
その外側も測りました。編集の往復を4762件、項目ごとの書き換えを4758件、そのすべてを実ROMの解読ルーチン $adcc に食わせて受理と一致を確認しています。さらにChromeで実際のページを操作し、ブラウザが出したパスワード7本を同じルーチンに通しました。全部受理。レベル・所持金・経験値・能力値・仲魔・装備が、画面で入れたとおりに戻ってきます。公開したあと、本番のURLで出したパスワードでも同じ確認をしました。
それでもベータ版と書いているのは、測っていない範囲があるからです。確かめたのは「フォーマットとして正しく、ゲームが受理する」ところまで。進行フラグを書き換えた先で物語がどう進むかは、まだ測っていません。
配るのは、道具と測定結果だけ
今回増えた道具は、パスワードの生成器です。ROMを持たず、通信もせず、一枚のHTMLで完結します。棚に加わった測定結果は、アイテム名64件と、装備の許可表――つまり「このスロットには何が置けるか」という、ゲームが持っているルールそのものです。
作ったパスワードは、遊べる版の「🔑 じゅもん」タブに貼れば、カーソルが勝手に動いて打ち込んでくれます(タブ名はゲームの表記に合わせてあります)。
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読む道具、地図にする道具、パスワードを解く道具と来て、今回はセーブデータを書く道具になりました。面白かったのは、画面の形をこちらがほとんど決めていないことです。レベルを持たない、5番目を持たない、経験値は差分で持つ――持たないと決めた設計が、そのまま入力欄の形になりました。四十年近く前に「ビットを節約する」という理由だけで選ばれたことが、いまページの上で「ここは入力できません」という一行になっている。残りは前回と同じ二つ――巨大ボスの実描画と、他ダンジョンへの横展開です。
——以上、御供餅より。今日も棚にお供えを。