こんにちは、パレイド技術部の夏目です。
前回、8/26 公開の Qwen3.8-Flash-Next を 32GB の MacBook Air M5 で測りました。72.5GB のモデルが 2.25〜3.42 tok/s で動き、設定した 5 タスクすべてが自力で終端し、それでもローカル用途としてはスペックが厳しい、という結論でした。一本ずつ測るのは面白いのですが、この夏に限っては1モデルを測り終える前に次が出るラッシュ状態です。
7/19 から 8/27 までの約 5 週間で、Qwen は API 限定のものも含めて 8 件近いモデルを公開しています。個別のベンチマークを追うだけでは、どれが本命でどれが前哨戦なのか区別がつきません。今回は実機検証を離れ、リリースを時系列に並べ直して、次の Qwen4 本体シリーズがどういう形で降りてくるかを読みます。持ち帰っていただきたいのは、Qwen4 を待つなら手元のメモリをいくつ用意すべきか、という一点です。
本記事はローカル LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現段階ではクラウド AI(Claude 等)の補助や人間の編集が介在していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。
5 週間で 8 件
| 日付 | 名称 | 形態 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 7/19-21 | Qwen3.8-Max-Preview / Qwen-Audio-3.0-TTS / Qwen-Image-3.0 | クローズド API | WAIC 上海で発表。重み・ベンチマーク・技術レポートすべて非公開 |
| 8/2 | Qwen3.8-Max | ホスト版 API | 提供開始 |
| 8/3 | Qwen3.8-Max | 正式発表 | 2.4 兆パラメータ / active 約 95B。Text Arena 5 位、Vision Arena 2 位、最大 100 万トークン |
| 8/8 | Qwen3.8-2.4T-A95B | オープンウェイト | post-trained・テキスト専用 MoE。Max 本体とは別物 |
| 8/12 | Qwen3.8-Max | オープンウェイト | Max 級として史上初のオープン化。API 版とは非同一 |
| 8/14 | Qwen3.8-27B | オープンウェイト | dense 27.8B / Apache 2.0。当方で実測済み |
| 8/26-27 | Qwen3.8-Flash / Flash-Next | オープンウェイト | 125B 級。Next は Qwen4 アーキテクチャのプレビュー。当方で実測済み |
並べると、繰り返されているのは 「先にクローズド API で出し、数日から 1 週間後に別仕様のオープンウェイトを出す」 という型です。7 月の 3 本は重みもベンチマークも技術レポートも非公開で、Qwen-Image-3.0 を無料枠で触った記事ではその不透明さ自体を確かめる形になりました。8/3 の Max は 2.4 兆パラメータのスパース MoE(Mixture of Experts、入力ごとに一部の専門家サブネットだけを動かす構造)で、active パラメータは約 95B。日本経済新聞や Bloomberg も報じた規模の発表です。
注意が必要なのは、同じ名前でも API 版とオープン版は中身が違うことです。8/12 に公開された Max のオープンウェイト版は、Max 級として史上初のオープン化という点で画期的ですが、画像・動画入力に対応せず、ネイティブのコンテキストは 26 万トークン、Thinking モードが必須という制約付きでした。クラウド版の代替にはなりません。
パラメータ数の表記も情報源で割れます。Flash-Next だけでも 125B / 176B / 180B の 3 通りが出回っていて、Max の active パラメータも「95B」と「950 億」の両表記があります(後者は同じ数字の日本語表記です)。前回 Flash-Next を実測したとき、公式モデルカードの記述は「125B with 6B activated, plus 51B n-gram embedding and 4B MTP」、HuggingFace のメタデータ上の総パラメータは 179,999,981,424 でした。どの数字も嘘ではなく、n-gram 埋め込み表 51B と MTP 4B を数に入れるかどうかが違うだけです。額面を並べても比較にならないので、内訳まで降りる必要があります。
Qwen4 のアーキテクチャは、もう手元に降りてきている
Qwen4 という名前のモデルはまだ出ていませんが、設計そのものは Flash-Next として先に配られています。構成は Hybrid Gated DeltaNet(GDN) と Qwen Sparse Attention(QSA) の組み合わせです。GDN は線形 attention の一種で、過去のトークンを保持する作業領域(KV キャッシュ)が文脈長に比例して膨らまない性質を持ちます。QSA はトークンを micro-block という小さな塊に集約し、ブロック単位で重要度を推定して必要な箇所だけを引く仕組みです。
公式ベンチマークの数字は強気でした。入力の読み込み(prefill)で最大 7.6 倍、生成(decode)で 4.9 倍。1M トークン・プレフィックスキャッシュのヒット率 90% というオンライン想定では、Qwen3.7-Plus 比で 8.6 倍の prefill スループットと発表されています。
手元の実測は、この数字の半分だけを裏付けました。KV は確かに軽く、262K を開いても 8.25GiB、1 トークンあたり 33.8KB で、8/14 の 27B のおよそ半分です。ところが 3,877 トークンの文書を読ませると、読み込みだけで 2,486 秒(41 分 24 秒)かかりました。理由は MoE の動き方にあります。生成時は 512 個のエキスパートのうち 10 個しか触りませんが、読み込み時はバッチ内の全トークンをまとめて通すため、実質すべてのエキスパートを読み出すことになる。7.6 倍という数字は、重みが全部 GPU に載っている前提で成立します。SSD に置いた瞬間に前提のほうが消えます。
「アーキテクチャだけ先に出して、本体シリーズを後から出す」進め方は今回が初めてではありません。2025 年後半の Qwen3-Next が GDN とハイブリッド attention を先行披露し、その後 Qwen3.5 シリーズが同じ設計を本採用した前例があります。Flash-Next も同じ位置に置かれていると見るのが自然でしょう。本体シリーズの投入時期は早くて 2026 年末、遅ければ 2027 年前半という観測が複数ありますが、これは観測記事によるもので、公式のロードマップ発表ではありません。
開くのか、閉じるのか
リリースの速さの裏で、組織のほうは 2026 年 3 月に大きく揺れています。3 月 3 日から 4 日にかけて、Qwen を率いてきた Junyang Lin(林俊暘)氏が辞任しました。Alibaba 上層部(Jack Ma を含む)との AI 戦略会議の直後で、チーム再編と商業目標を巡る内部対立が背景と報じられています。体制は単独リーダーから複数のリーダーが並走する形へ移り、創設期の中核メンバーが相次いで離脱する事態(報道では mass exodus)に発展しました。後任として元 DeepMind の Zhou Hao 氏らがラボに入り、離脱した post-training リードの役割を引き継いだとされています。
Alibaba の広報は「オープンソース戦略に変更はない」と説明しています。ただし実際には、2026 年半ばに Qwen3.7-Max / Qwen3.7-Plus という旗艦をクローズド化(API 限定・重み非公開)する方針転換がありました。OpenAI や Anthropic とエンタープライズ API で直接ぶつかる動きです。7 月の Qwen-Image-3.0 で「オープンな対抗軸だった画像生成がクローズド側に鞍替えした」と書いたのも、同じ流れの一部だったことになります。
この文脈に置くと、8/12 の Max オープンウェイト化は、クローズド化に対する部分的な揺り戻しか、あるいは「旗艦は閉じるが Max クラスの一部は開く」という使い分けに見えます。ただしこれは観測記事による解釈で、公式にそう説明されたわけではありません。
数字のほうは、公開路線を続ける動機を裏付けています。2026 年 2 月時点で Qwen のダウンロードは 月間 1 億 5,360 万件、次点以下 8 社の合計を上回る規模と報じられ、3 月には世界のオープンソースモデルダウンロードの 50% 超を占めたとの報道もありました。競合には DeepSeek(V4 系)、Moonshot AI の Kimi K3(2.8 兆パラメータ、史上最大級のオープンウェイト)、ByteDance の Doubao が並びます。この規模がオープン化の理由であり、収益は API から取る。当分は開く版と閉じる版を作り分ける二重運用が続くと読んでいます。
まとめ
- 5 週間で 8 件近い公開。クローズド API とオープンウェイトが交互に出る
- 同名でも API 版とオープン版は別仕様。Max のオープン版は画像・動画入力なし、26 万トークン、Thinking 必須
- パラメータ数は数え方で 125B / 176B / 180B に割れる。n-gram 表 51B と MTP 4B を数えるかどうかの差
- Qwen4 の設計(GDN + QSA)は Flash-Next で先行公開済み。Qwen3-Next → Qwen3.5 と同じ順序
- 本体の時期は 2026 年末〜2027 年前半という観測。確定情報ではない
- 組織は 3 月に再編されたが、リリース速度は落ちていない
Qwen4 本体が降りてきたときに詰まるのは、アーキテクチャではなくメモリです。Flash-Next の実測では、SSD に逃がせる n-gram 表を除いた RAM 要求が 40.7 GiB でした。32GB 機(実質 29.8 GiB)に対して 1.37 倍。設計が新しくなっても、この差は設計では埋まりません。
Metal の working set は 32GB 機で 25,559 MiB、RAM のおよそ 78% でした。同じ比率なら 64GB 機で約 46 GiB になり、40.7 GiB は GPU に載る計算になります。長い文脈を同時に開くなら、さらに上の構成が要ります。次回は Mac mini / Mac Studio の構成を並べて、この 40.7 GiB がどこから GPU に載るのかを整理します。