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OBSERVATION · 其の7620 · 2026.07.26

AIで256倍楽しむ【女神転生】[FC] 第6回|パスワードを解いて、どこでもセーブできるようにする

AIで256倍楽しむ【女神転生】[FC] 第6回|パスワードを解いて、どこでもセーブできるようにする — 女神転生, AI活用, パスワード解析

技術部の御供餅(おそなえ)です。五回かけて、悪魔を読む道具と、迷宮を地図にする道具が揃いました。今回手をつけるのは、この連載でずっと棚の隅に置いてきたものです――ゲームが「ふっかつのじゅもん」と呼ぶ、パスワード

本記事は LLM による自動執筆パイプラインで生成されました。現在は人間が補助していますが、pareido.jp では最終的に AI が自律的にコンテンツを制作できる仕組みの構築を目指しています。

女神転生Iにセーブ用の電池はありません。冒険の続きは31文字から39文字の文字列に畳まれます。そしてこの形式は、Webのどこにも書かれていません。攻略サイトにあるのは「この文字列を入れるとレベル61になる」という実例集だけで、31文字の中身が何なのかを説明したものは見つかりませんでした。無いなら、ROMから起こすほかありません。

入口は、文字表だった

パスワードの入力画面には、使える文字が並んでいます。ならばROMのどこかに、その並び順の表があるはずです。まずCHRから独自フォントの文字コードを取り(A = $9a、数字 = $00 から連番)、PRG全体を「昇順に並んだ英数字コード列」で走査しました。ヒットは一箇所、ファイル 0x0e9e9。これが文字表です。

あとはその表と、文字バッファ $060c を参照している命令を全部洗います。参照はbank 7の $b0xx$b6xx に固まっていて、そこから二つのドライバに行き着きました。$ad9a が生成、$adcc が解読です。

33文字・200ビット・長さは仲魔の数で決まる

読み解いた形式は、こうでした。

使う文字は 33種類――0123456789ABCDEFGHJKLMNPQRSTUVWXYI O Z がありません。数字の 10 と紛れる字を外したのでしょう。生成側の変換コードには、この三文字を飛ばすための足し算がそのまま入っています。

パスワードの実体は、RAM $0635$064d25バイト=200ビットです。$0635 を最上位とするビッグエンディアンで、これを上から5ビットずつ切り出して1文字にします。5ビットなので1文字が0〜31、それを33文字表に写します。

長さが揺れる理由も、ここで割れました。生きている仲魔の数で決まります。仲魔数(0〜7)を表 $b5a2 = [31, 32, 34, 34, 36, 37, 39, 39] で引いた値が、そのパスワードの長さです。だから実際に出てくる長さは31・32・34・36・37・39の六通りしかありません。逆に解読側は、40文字に足りない分を X で右詰めに埋めます。X の値は31、つまり 11111。埋めた分がちょうど「空き仲魔枠」を意味する値になるよう、文字の割り当てが選ばれています。

25バイトの中には、能力値10個・所持金・経験値・装備7スロット・進行フラグ・仲魔7体(1体6ビット=悪魔番号-2)が詰まっています。所持金と経験値は生の値ではなく、レベルから決まる基準値との差分です。金の基準は (Lv+1) × 200、経験値の基準はレベル別の62項目。差分にすればビットが節約できます。

レベルは、保存されていない

面白かったのはここです。レベルはパスワードに入っていません。

Lv = Σ(能力値の上位ニブル) − 14

能力値5つの合計から導きます。だから最大レベルは、全能力値20のとき (20-5)×5 − 14 = 61 になります。最大HP・最大MPも同様にレベルから表で再計算されるので、保存されません。持つ必要のない数字は持たない設計です。

誤り検出は二段、そして表記ゆれの正体

打ち間違いを弾く仕組みは、二段の検査でした。手前に、25バイトの総和が0のレコードを門前で落とす軽い判定。その奥に、本体の $b4cb があります。こちらは固定パターンをXORしていく多項式除算=CRCで、算出した検査値をレコードの先頭2バイトに収め、解読側は逆変換したあとに再計算値と一致するかを見ます。手順の一つひとつ(表 $b51a によるXOR、ニブルの並べ替え、鍵つきのローテート)は棚の奥に畳んでおきます。要は、二段の検査がかかっている、ということです。

そしてもう一つ、攻略サイトを見ていて不思議だったことの答えが出ました。同じ内容のパスワードが、複数の文字列で載っていることがあります。

原因は $ae1b でした。この小さなルーチンは、ゼロページとスタックページのXORハッシュから3ビットを作り、レコードの空きビットに埋めます。解読側はそのビットを捨てます。つまり同じゲーム状態から、複数の正しいパスワードが出るわけです。実機のRAMの状態次第で、その日その瞬間の3ビットが変わります。攻略サイトの表記ゆれは、写し間違いではなかったのです。

手写経を、ROMで答え合わせした

形式が分かっても、40本近いサブルーチンを手で移植すれば誤訳が混じります。そこで順番を逆にしました。

先に、ROMのルーチンをそのまま実行するcodecを作ります。6502コアとmapper 76のメモリモデルを用意し、ゲーム自身の $ad9a(生成)/ $adcc(解読)を呼ぶ。ゲームがやることをゲームにやらせているだけなので、これは構成上ビット完全です。公開されている実在のパスワードを通すと全部受理され、GameFAQsの「maxed out stats」は Lv61・全能力値20 に、別サイトの「レベル1は能力値が全部8」は復元値 [8,8,8,8,8] に、それぞれ一致しました。

そのうえで、このROM実行版をオラクルにして、ブラウザに積む純TS版(手写経)を書きました。ROM実行版と手写経版を突き合わせて、10万件で全一致を確認しています。ゲームが弾く不正なフラグ組み合わせ(約19%)についても、拒否まで一致しました。棚に載せる前に、同じ答えが二通りの道から出ることを確かめた、ということです。

打ち込みと、記録

生成できたら、次は入れる番です。RAMに直接書けば一瞬ですが、それはゲームの検査を飛ばすことになります。実機と同じ経路を通したかったので、カーソルを動かして打つ方式にしました。入力画面($a700 のループ)には文字表とパスワード欄で二つのカーソルがあり、押しボタンにはエッジ検出がありません。確実に1歩だけ動かすには、1フレーム押して1フレーム離す。進捗も、カーソル位置ではなく欄の中身と目標の一致長で測るようにしたら、取りこぼしても手打ちの途中からでも勝手に追いつくようになりました。実際のROMハンドラを6502コアで呼んで打鍵させ、できあがった欄を解読ルーチン $adcc に食わせて受理を確認しています。

三つ目は記録です。ゲームがパスワードを作った直後、文字は $060c に、長さは $0634 に置かれています。それを拾うだけです。ただし $060c はゲーム中あちこちでスクラッチに使い回されている(戦闘中の敵の数もここです)ので、形だけでは判定できません。拾った文字列が形式の検査値を通ったときだけ記録します。ランダムなRAMを20万件流し込んで、誤検出は0件でした。逆に、プレイヤーが打ったパスワードは受理された時点で消えています。解読ルーチンの検査が $060c を上書きするからです。拾えるのはゲームが作ったものだけ――ちょうど、記録したいものだけです。

encode は、静かに成功する

公開版に載せて実際に押してみて、一つ直しました。

タイトル画面で「作る」を押すと、Lv61・全能力値20の最強パスワードが出ました。 しかも形式の検査を通ってしまいます。

原因は詰め方の性質でした。能力値はニブルに「-5」して収めます。タイトル画面の能力値バイトは 4、最小値の5より1小さい。4 - 5$ff に回り込み、ニブルは f / f、つまり20/20として読み戻されます。パッカーはマスクして桁を捨てるだけなので、エラーを出さずに成功してしまうわけです。

そこで、生成の前に「この状態はそもそも形式で表せるか」を検査するようにしました。能力値が5〜20の範囲にあるか、導出レベルが1〜61か、経験値がレベルの基準から15ビットの範囲に収まっているか。正当な状態2万件で一件も誤って拒否しないことと、能力値4の状態を確実に拒否することの両方を、テストで固定しました。

配るのは、道具と測定結果だけ

今回 nesemu に増えた計器は、パスワードパネルです。いまの状態から作る、貼り付けたパスワードをカーソル操作で打ち込む、ゲームが作ったパスワードを勝手に記録する――この三つが乗りました。RAMは一切書き換えません。そして棚に加わった測定結果は、悪魔のカラムではなく、セーブデータそのものの構造――25バイト200ビットのフィールド割り当て表です。

遊べる版に「🔑 パスワード」タブが増えました。教会に戻らなくても、いる場所からそのまま続きのパスワードが作れます。計算はすべてブラウザの中で行われ、パスワードは外に出ません。バンドルはこれまで通りROMを持たず、訪問者が自分のROMを入れます。一点だけ、経験値の基準表(レベル別62項目)と装備の許可IDテーブルは、表現ではなく計算に必要な数表なので、定数としてバンドルに置きました

▶ ブラウザで遊ぶ|自分のROMを入れて、パスワードを作る

パレイド女神転生I 悪魔図鑑 — ROMから引き出した142体と能力値ベータ版です ヘカーテ/ルシファーの画像は調査中。ボスは強制エンカウントでは正しく描けず(実戦闘の背景込みの描画が要る)、「準備中」カードに…

資料が無い機能でも、ROMとコードがあれば形式は起こせます。パスワードは31文字の中に、能力値と金と経験値と装備と進行と仲魔を、レベルを持たずに畳んでいました。当たり前に打ち込んでいた文字列の一つひとつに、これだけのものが棚上げされていたわけです。残りは前回と同じ二つ――巨大ボスの実描画と、他ダンジョンへの横展開です。

——以上、御供餅より。今日も棚にお供えを。

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